首位に再び1差!雄星 好投4勝目「久しぶりに褒められた」

[ 2012年9月26日 06:00 ]

<西・楽>大勢のファンとタッチを交わす西武・菊池(右)

パ・リーグ 西武3-2楽天

(9月25日 西武D)
 獅子の再逆襲だ。西武は25日、菊池雄星投手(21)が楽天戦に先発し、5回2死までパーフェクト投球を披露するなど、8回途中まで2安打2失点の好投。逆転優勝に向けた10連戦の初戦を任された左腕は先発の役目を果たし、昨季に並ぶ4勝目を挙げた。首位・日本ハムが引き分けたため、再び1ゲーム差に肉薄。残り11試合。負けられない戦いが続く。
【試合結果】

 ゲームセットの瞬間。ベンチを出たところで渡辺監督に肩をもまれ、耳元で何かささやかれた菊池は思わずはにかんだ。

 「監督に“きょうは良かった、本当に良かった”って言ってもらえた。久しぶりに褒められました。本当にうれしい」

 マウンドでのポーカーフェースから一転、21歳のあどけない素顔がのぞいた。

 完全試合の期待さえ抱かせるほどに、抜群の立ち上がりだった。5回2死から牧田に初安打を許すまでは、打者14人をパーフェクト。直球が切れまくった。真骨頂は7回だ。藤田をオール直球で二ゴロ、松井を遊ゴロに仕留め、迎えた4番ガルシア。「直球にだけ足を上げて振りにきていた。でもきょうの真っすぐなら勝負できると思った」。直球狙いの主砲にあえて強気に挑み、最後は真ん中高めにこの日最速の148キロを投げ込み、空振り三振を奪った。

 8回に四球と安打で無死一、二塁とされたところで91球で交代。プロ初完封は逃げていったが「ここ最近で一番良かった。久しぶりに納得できる球」と深くうなずいた。

 プロ入り後、一番苦しいと言っても過言ではない6日間だった。前回先発した18日のソフトバンク戦(ヤフードーム)は1イニング4四球と崩れ、4回3失点でKO。勝利を意識するあまり、力んでバランスを崩した。この日の登板を前に、「2試合続けて試合を壊したら、もうファーム(2軍)だ」。そんな絶望感もよぎった。その淵から救ってくれたのが先輩選手の言葉だった。炭谷が「もともと制球良くないんだから勘違いすんな!」と?咤(しった)すれば、岸や中島は「(チームの勝敗を)背負うのは俺らだけでいい。好きなように投げろ」。この日も渡辺監督には「おまえが何かを背負うのはまだ早い。自分の力を出し切れ」と送り出され、肩の荷が下りた。

 勝負の10連戦初戦。チームの発案、ファンの要望もあって、急きょ「戦闘服」も変更した。今季これまで5試合限定で着用した「西武鉄道創立100周年記念ユニホーム」に再び袖を通した。8月の楽天戦では同一カード3連勝を決め、今季初の首位に立った縁起の良いユニホーム。菊池にとっては自身の登板試合では初着用となったが、チームは同ユニホームで5連勝だ。

 首位・日本ハムに1ゲーム差に再接近。1軍デビューを果たした昨季の防御率が4・14と勝たせてもらった4勝なら、今季は同じ4勝でも2・30。「これが自分の求めていた投球」。激しい優勝争いの渦中で、3年目左腕が確かな成長の跡を見せた。

 ▼西武・涌井(9回を無失点に抑えて27セーブ目)今後も言われたところで準備していきたい。

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2012年9月26日のニュース