高田の“特別な夏”初戦は強豪・盛岡工と

[ 2011年7月1日 06:00 ]

初戦で盛岡工との対戦が決まった高田・大和田主将

 第93回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)岩手大会の抽選が行われ、高田高校は16日の2回戦で強豪・盛岡工と対戦することが決まった。3月の東日本大震災で壊滅的な被害を受けながら、復興に向けて奮闘する同校ナイン。今大会は新たに「陸前高田市」の文字を右袖に入れた新ユニホームで特別な夏に臨む。また、秋田、山形、滋賀の組み合わせも決まり、南・北北海道大会は30試合が行われた。

【岩手大会 秋田大会 山形大会 滋賀大会】

 いきなりの強敵との対戦にも強気だった。大和田主将は、県内屈指の左腕・藤村を擁する盛岡工との対戦が決まっても動じなかった。

 「相手はどこでもよかったです。どことやっても負ける気はない。支援してくれた人たちに自分たちが元気なところを見せたいです」

 沿岸部に位置する陸前高田市は県内最多の1524人の死者を出した。野球部は震災から1カ月以上経過した4月23日に活動を再開。しかし、震災前まで練習に使用していたグラウンドには仮設住宅が建設された。隣接する室内練習場は健在だが、電気が通ったのは5月上旬だった。

 絶対的に不足する練習量。少しでも補うためには地元を離れるしかなかった。5月の盛岡遠征を皮切りに、宮城県など東北各地に遠征した。6月11、12日には群馬県にまで足を延ばすなど、物心ともに相手校の協力を得ながら実戦を積んできた。体重が6キロ以上減った選手もいる。一時的に精神的に不安定となった選手もいた。それでも野球を続けてきた。

 地元の思いを背負って戦うために、ユニホームのデザインを一部変更した。ユニホームを津波で流された部員もいたため、佐々木明志(あきし)監督の母校・早大のOB有志から届けられた義援金で新調した。右袖に新たに入れた「陸前高田市」の文字。「おこがましいですけど、陸前高田市民の方々の力になれれば」と佐々木監督は言う。

 練習環境に恵まれなかったため、これまではチームをA、Bの2班に分けて練習せざるを得なかった。しかしきょう1日からは岩手県一関市花泉で震災後初めて部員59人全員で2泊3日の合宿を敢行する。「これでチームに一体感が出てくれば」と指揮官。困難を乗り越え、大会出場にこぎつけた。部員全員で特別な夏をつかみにいく。

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2011年7月1日のニュース