ダル自己最多15K完封!第2の故郷・仙台で快投

[ 2011年5月11日 06:00 ]

<楽・日>8回、鉄平を三振に打ち取って雄叫びをあげるダルビッシュ

パ・リーグ 日本ハム2-0楽天

(5月10日 Kスタ宮城)
 日本ハムのダルビッシュ有投手(24)が10日の楽天戦で6安打完封。自己最多の15三振を奪い、ハーラートップタイの4勝目を挙げた。東日本大震災後、初めて上がったKスタ宮城のマウンド。東北高校で3年間を過ごした第2の故郷で思いを込めた。決勝の5号2ランで応えたのは中田翔外野手(22)。弟分の援護も得て、楽天の岩隈久志投手(30)とのスーパーエース対決を制した。
【試合結果】

 直球はうなり、スライダーは鋭く曲がった。カーブで面白いようにストライクを取り、チェンジアップで打者のタイミングを簡単に外した。一発を浴びれば逆転サヨナラ負けとなる9回2死一、三塁でもダルビッシュは慌てなかった。「きょうはスライダーがめちゃくちゃ切れていて左打者も振ってくれた」。最後は岩村の膝元に食い込むウイニングショットで空振り三振。岩隈とのエース対決を自己最多の15奪三振で制し、今季初完封でハーラートップタイとなる4勝目を飾った。

 ダルビッシュにとって震災後、初めての仙台入り。9日、札幌から仙台空港に到着。移動のバスから目の当たりにした光景に絶句した。津波で流された車が重なり、大きな木がなぎ倒されていた。緑であふれるはずの田園風景はほこりまみれの土色だった。「テレビで見ていたし、分かりきっていた。ただ、これをどうやっていくのかな…。(復興まで)時間もかかりそうだなと思った」。無力感に襲われた。では、何ができるのか。おのずと答えは見えていた。

 初回には先頭・聖沢の打球が右すねを直撃した。そんな痛みも関係なかった。2回には国内自己最速に1キロと迫る155キロも計測。6回に「打つような気がした」と中田の先制2ランが飛び出してもすぐに表情を引き締めた。8回に聖沢の遊ゴロが際どい判定になると星野監督がベンチを飛び出して抗議したが、その間も気持ちを切らさなかった。「常に集中して神経を使った。結果ほど楽ではなかった」。特別な一戦だから一瞬たりとも気を抜かなかった。

 ソフトバンクとの同率首位も守った絶対エースは「多くのファンに夢と希望を与えられるように頑張りたい」ともう一度力を込めた。球団の枠を超えた存在のダルビッシュだからできることがある。仙台で見せた快投もそれだった。

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