真下G斬り!プロ1勝でチームも4連勝5位浮上

[ 2011年5月11日 06:00 ]

<巨・横>プロ初勝利を挙げウイニングボールを手に笑顔の真下

セ・リーグ 横浜8-1巨人

(5月10日 上毛敷島)
 笑みが止まらなかった。訪れる初勝利の瞬間を思い、横浜の真下(まっか)はベンチで白い歯を何度もこぼしていた。

 「入院で迷惑かけていたのでうれしくて。必死に投げました。雨は降っていたけど、やる気満々でした」。試合前から降り続いた雨も、背番号47の初勝利が決まったときには、いつしかやんでいた。

 先発予定だった4月22日に虫垂炎で3日間入院した。帰ってきたマウンドで、年俸550万円の高卒2年目左腕が5回5安打1失点で7奪三振。最速は138キロながら100キロ台のカーブも使って緩急をつけた。3回2死一、三塁。2回にカーブを打たれて先制ソロとされた長野には直球で3球勝負して二ゴロに仕留めた。「なるようになれで。運が良かった」。小笠原、ラミレスに1安打ずつ許したが「みんな上っすから」と笑った。

 投球フォームはいわゆるアーム式。左肘があまり曲がらず打撃マシンのように腕を振る。肘を柔らかく使うのが基本とされる中ではご法度とも言えるが吉田投手コーチは「結果が出る限り変えません」と温かく見守る。真下も自覚はあるが、今はプロで戦う体づくりを優先。フォームの修正はその先と考えている。小学校時代に2度右足首を骨折。その影響で走り込み不足の時期もあったが、入団して1年間で体重を15キロ増やして87キロとした。右足首へ負担のかからない頑丈な体を追い求め続けているから、体力づくりにも力が入る。

 尾花監督就任後初、チームとしても2年ぶりの4連勝。勝率で阪神を抜いて5位に浮上した。「勝つことが大事。1つ勝てば自信が付く。真下にはローテに居座ってもらいたい。でも長野は結果オーライやな」と言いながら指揮官の目尻は下がりっ放しだ。

 「ウイニングボールは母に渡します。(僕は)いつ入院するか分からないですけど」。若き孝行息子の白い歯が、カクテル光線に輝き続けていた。

 ▼横浜・細山田(真下について)緩急を使って、インコースをうまく攻められた。

 ≪プロ1勝目は巨人は牛田以来≫真下(横)がプロ初勝利。横浜でプロ1勝目が巨人戦だったのは、06年の山口、牛田以来(外国人は除く)。また、真下は現在20歳0カ月。20歳0カ月以下での巨人戦白星は今季の今村(広=19歳11カ月)がいるが、チームでは大洋時代の87年6月27日に中山裕章が19歳7カ月で勝って以来24年ぶりだ。

 ◆真下 貴之(まっか・たかゆき)1991年(平3)4月19日、北海道室蘭市生まれの20歳。千葉・南子安小5年から野球を始め、君津シニアでは投手兼一塁手。東海大望洋1年秋からベンチ入り。3年夏は千葉大会4回戦敗退。09年ドラフト4位で横浜入団。同年の高卒ルーキーには西武・菊池、広島・今村ら。家族は両親、姉。1メートル88、85キロ。左投げ左打ち。

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