“魔物”にも勝った!沢村 聖地でプロ1勝

[ 2011年4月22日 06:00 ]

<神・巨>7回、平野を遊ゴロに打ち取り雄叫びを上げる巨人の沢村

セ・リーグ 巨人3―1阪神

(4月21日 甲子園)
 沢村伝説の始まりだ!巨人のドラフト1位・沢村拓一投手(23)が21日、プロ2試合目の先発となった阪神戦でプロ初勝利を挙げた。敵地の大観衆にのまれることもなく、最速154キロの直球を武器に7回を6安打1失点。巨人の投手で甲子園で1勝目を挙げたのは史上初めてだ。大物ルーキーが、伝統の一戦に新たな歴史を刻んでいく。
【試合結果】

 虎党の悲鳴が響く甲子園の三塁ベンチで、沢村はほとんど表情を変えなかった。午後9時5分。プロ初勝利を手にしても、肝っ玉ルーキーは平然と言ってのけた。

 「高校球児も僕も憧れていた甲子園。素晴らしいファンの中で投げられたので楽しかった。佑ちゃん(日本ハム・斎藤)や福井君(広島)が勝っていたので僕も勝ちたいと思って上がりました」

 佐野日大時代に踏めなかった人生初の甲子園は試練から始まった。初回、連打と四球でいきなり2死満塁のピンチ。金本を三飛に打ち取ったが「自分でも落ち着かない状態だった」。さらに3回無死一塁の打席では犠打に失敗し、二塁走者となった1死二塁からは脇谷の右飛で飛び出して併殺となった。並のルーキーなら動揺するが、怖いもの知らずの右腕は聖地の魔物に立ち向かった。

 3回1死三塁では、新井、ブラゼルを連続三振。最速154キロを記録した直球がうなりを上げ、フォークが切れた。6回にブラゼルに左中間二塁打され1点差とされたが、8回に代打を送られるまで7回6安打1失点。ウイニングボールは「育ててくれた両親に贈ります」と感謝を込めた。

 2月の宮崎キャンプ初日。青島神宮で絵馬に「奪回、貢献」と書いた。「ジャイアンツが優勝するために貢献したい。自信というのは芽生えていないけど、勝ちたい」。夢をかなえた沢村が笑わなかったのは、目標をかなえる信念があるからだ。

 ▼巨人・加藤(バッテリーを組んだ沢村について)中盤ぐらいからボールが走って、フォークも良くなっていた。

 ▼沢村の母・和子さん(54=父・伸一さんと栃木市内の自宅でテレビ観戦)どんなにバタバタしても勝ってほしいと思っていました。打たれ強く粘り強く投げてくれました。1年間は長いのでいろんなことがあると思います。ケガをしないでジャイアンツの一員としてチームに貢献してほしいです。

 ◆沢村 拓一(さわむら・ひろかず)1988年(昭63)4月3日、栃木県生まれの23歳。東陽中で軟式野球部に所属。佐野日大では甲子園出場なし。中大では1年春からベンチ入りし、08年秋の東都リーグ1部昇格に貢献。昨年春のリーグ戦で神宮学生最速の157キロを記録。通算成績は1部リーグ41試合で19勝14敗、防御率1・31。座右の銘は「猪突(ちょとつ)猛進」。1メートル84、90キロ。右投げ右打ち。

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