相馬市出身の鈴木 被災地へ思い届けプレー

[ 2011年4月2日 19:37 ]

チャリティー試合 巨人3―0中日

(4月2日 ナゴヤD)
 「とにかく精いっぱいプレーする。それが今できること」。東日本大震災で被害を受けた福島県相馬市出身の巨人・鈴木尚広選手(32)が2日、名古屋市東区のナゴヤドームで行われた中日との慈善試合に出場した。

 「9番・指名打者」で先発、五回には持ち味の俊足を生かし、2死一、三塁から重盗を成功させて本塁へ生還。ユニホームの袖に喪章をつけ、懸命のプレーを見せた。

 相馬市は津波に襲われ、鈴木選手の両親も一時は避難を余儀なくされた。震災発生から約2週間後、地元へ帰って目にしたのは、変わり果てた故郷のありさま。「とにかく言葉が出なかった。想像もできないような風景だった」と、爪痕のすさまじさに絶句した。

 避難所では、全てを失い、途方に暮れる人々の姿も目の当たりにした。鈴木選手は「家もお金も、働く場所もない。この先どうなるのか」と、復興への険しい道のりに不安を募らせる。立谷秀清市長には、義援金100万円を渡した。

 この日の試合には約1万3千人が訪れた。「たくさんの人に集まっていただき、ありがたい。そういう気持ちを東北の人たちに届けられれば」。ファンへの感謝と被災地への思いを、静かな口調に込めた。

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2011年4月2日のニュース