八戸工大一夏1勝!12年前の雪辱晴らす快音連発

[ 2010年8月8日 06:00 ]

<八戸工大一・英明>夏の甲子園初勝利を挙げ喜びを爆発させる八戸工大一ナイン

 【八戸工大一8―4英明】あの夏と同じ左腕がマウンドにいた。握るバットに力がこもる。「ここで打ったら歴史が変わるぞ」。ベンチから長谷川監督の声が飛ぶ。その数十秒後、中村は本当に歴史を変えてみせた。

 

 「12年前の悔しさはみんな意識してた。つなぐことだけ考え、間を抜こうと。自信を持ってやった結果です」。快音が響く。一塁側アルプス席は歓喜に包まれ、12年前のメンバーが感謝の拍手を送る。それほどまで待ち望んだ瞬間だった。
 前回出場の98年夏の1回戦、八戸工大一はノーヒットノーランで敗戦。相手は鹿児島実のエース左腕・杉内(現ソフトバンク)だった。速球とスライダーにきりきり舞いさせられたシーンを中村はビデオで何度も見た。そこにいとこで、当時の正捕手・中村大輔さん(29)の姿もあったからだ。「グラウンドが硬いから叩け。左腕は逆方向を狙え」。携帯電話から熱い声が届いたのは前夜だった。
 4―4で迎えた8回1死満塁。スライダーを叩いた打球は大輔さんのアドバイスと逆の右中間を割った。決勝の3点三塁打。2回、12年前に1本も打てなかったチーム初安打を右前へ放ったのも中村だ。「あいつは何か持ってる」。長谷川監督の興奮は冷めない。
 中村は確かに「何か」を持っていた。高校1年まではスピードスケートと二足のわらじ。県のスケート連盟の要請で出場した2年前の冬の国体は500メートルで7位に入賞した。それが昨夏、青森大会準決勝敗退の悔しさから野球に専念。「スケートで鍛えた足腰は守備に役立てる」。9回のファインプレーにはスケート経験が生きていた。
 13年越しのヒット&夏初勝利。でも、まだ足りない。「鹿実に雪辱したい」。中村は因縁の相手と当たるベスト8以上まで勝ち続ける気だ。

 ▼八戸工大一OB・中村大輔さん(98年夏の甲子園出場)八戸の自宅で見てました。12年前は本当に悔しくて、それを晴らしてくれた。最高に気持ちいい。初安打も(中村)晃大なのでうれしい。鹿実からも打ってほしい。

 <英明 初の甲子園も粘り及ばず>春夏を通じて初の甲子園に臨んだ英明の夏は1回戦で終わった。それでも4点を先制された直後の6回に4本の集中打で追いつくなど終盤まで競り合い、香川監督は「互角のゲームは十分にできた」と選手をねぎらった。先発メンバーのうち4人が2年生の若いチーム。新チームでも軸として期待される3安打2打点の西岡は「守備の粘り強さが足りなかった。もっと鍛えてきたい」と前を見据えた。

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2010年8月8日のニュース