中田3戦連発!期待高まる“平成の名勝負”

[ 2010年8月8日 06:00 ]

<日・楽>6回、3戦連発となる7号ソロを放った日本ハム・中田(左)は陽(中央)らチームメイトらに迎えられる

 【日本ハム8―3楽天】怪物が覚せいした――。日本ハム・中田翔内野手(21)が7日、楽天戦で3試合連続アーチとなる決勝7号ソロを放った。6回に先頭で本塁打すると、打者一巡したこの回2度目の打席でも中前打。プロ初の1イニング2安打などでチームを4連勝へと導いた。ここ10戦7発で、8月はリーグトップタイの4本塁打と絶好調。8日は楽天・田中将大投手(21)が相手。目覚めた怪物が4戦連発のビッグアーチを狙う。

【試合結果


 この勢いは止められない。もはや相手が誰であろうと関係ない。中田がまた打った。
 「今までだったら突っ込んだままで終わっていたが、下半身で粘りながら打てたことは大きい」
 大阪桐蔭の先輩となる左腕・川井のスライダーに体勢を崩されながら、左翼スタンドまで運んだ。高々と舞い上がった打球はポール際へ。スタンド、ベンチはヤキモキしたが中田は手応えを感じていた。「打った瞬間にファウルにはならないと分かった。あとは距離だけ。左飛かなと思ったけれど…。スタンドに入って良かったです」。これがアーチストの感性か。
 ここ10試合で7本目。3戦連発の7号ソロで打線に火をつけた。打者一巡して再び回ってきた打席は2死一塁。1ストライク1ボールから5球連続ファウルで粘って、最後は外角へ逃げていくシンカーに食らいついて中前にはじき返した。「これが一番うれしかった。(本塁打を)打った後の打席が一番大事」。本塁打よりつないだ単打を喜べるようになったことこそが、成長の証だった。
 下半身を低くした新打撃フォーム。軸となる右足を大きく曲げて構える。視線が安定する一方で負荷は大きく、試合後半には右大腿部はパンパンに張っている。試合後は5月に手術した左ひざだけでなく右太腿もアイシング。トレーナー室で入念なマッサージを受けるのが日課となっている。もみほぐすことで疲労を取り除くが、これには激痛も伴う。それでも、必死に耐えて翌日に備える。さらに、課題だった守備も復帰後に守る一塁を無難にこなしている。3年目にして進化を見せ始めた中田に、梨田監督も「ベンチでよく声が出ているし、足も万全でないだろうが一発の少ない打線の中で十分すぎる働きをしている」と技術と精神力の成長を評価した。
 8日は楽天・田中とプロで初対決する。05年夏の甲子園準決勝、全国制覇した駒大苫小牧の2年生右腕から、大阪桐蔭の1年生スラッガーは中前打を放ったが一発は打てず試合にも敗れた。あれから5年。中田は「プロ野球を代表する投手の一人。勉強させてもらう意味で対戦が楽しみです」と不敵に笑った。オリックス・金子千、西武・涌井、ソフトバンク・和田らを打ち崩してきたエースキラーの新たな目標。平成の名勝負第1Rで4戦連発を狙う。

 ≪田中と中田の05年甲子園での対戦≫8月19日の準決勝で対戦。駒大苫小牧・田中は3試合連続登板の中、2回に自己最速の149キロを計測。5回まで無安打投球だったが7回に乱調。大阪桐蔭・辻内に2ランを被弾し、7回1/3を6安打5失点で降板した。対する中田は1年生ながら5番に座り田中から三ゴロ、三振、中前打と3打数1安打。試合は延長10回の末、6―5で駒大苫小牧が勝利。翌日の決勝も制して連覇を達成している。

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2010年8月8日のニュース