ヤンキース本気モード!早くもダル視察に来た

[ 2010年3月28日 06:00 ]

<ロ・日>2回2死二塁、西岡を三振に仕留めてほえるダルビッシュ

 【日本ハム3―3ロッテ】世界王者が本気視察――。日本ハムのダルビッシュ有投手(23)が27日、ロッテ戦に先発。千葉マリンでの同戦を、ヤンキースの紀田彰一日本駐在スカウト(33)が今季初視察した。早ければ今オフのポスティング・システム(入札制度)による同投手のメジャー移籍を視野に入れてのもので、その中でダルビッシュは6回で11三振を奪った。今後はヤンキースだけでなく、大リーグ各球団もシーズンを通じてダルビッシュをマークするものとみられ、今後の動向が注目される。

 ダルビッシュの快投を見ようとスタンドに足を運んだのはファンだけでなかった。入団6年目。1年目に右ひざを故障したことで海外移籍が可能となるFA権取得には最短でも今季を含めてあと5年を必要とするが、メジャー球団が指をくわえてただ眺めているわけがない。
 ダルビッシュが今オフにもポスティング移籍を希望した場合に備えて、バックネット裏から右腕の投球を食い入るように見つめていたのは紀田スカウトだ。「本人がどう思っているのかは分からないが(日米で)環境が変わってもすぐに順応できるでしょう」。25日に米国出張から帰国したばかりの同スカウトが休息を惜しんで視察するあたりにヤ軍の本気度が伝わってくる。「ダルビッシュの獲得?(キャッシュマン)GMの心の中がすべて。ただ、GMにリポートを報告しなくてはならない一選手であることは間違いない」。仮に今オフにもメジャー移籍となれば「入札額は天文学的な数字になる」と語るメジャー関係者もおり、06年オフに西武・松坂との独占交渉権を獲得したレッドソックスの約60億円を上回ることも予想される。それだけにダルビッシュの決断を待たずに、入札準備を整える必要があるため、開幕2カード目での早々のヤ軍の視察も当然の行動ともいえた。
 入団当初からダルビッシュはメジャー願望を否定してきた。しかし、実際には米国移籍を後押しする近い関係者も存在。今年2月に第2子(次男)を故郷・宮崎で出産した紗栄子夫人が一時は米国での出産を検討したこともあった。また、入団時には松坂にならってFA権を獲得できる前年にはポスティングによるメジャー移籍を容認する約束を球団とかわしているとの情報もある。実際、大社オーナーは「世界に通じる選手育成が目標」と語る。また、球団幹部の1人も「正規のルールにのっとったものならば規制はしない」と話しており、球団側では事実上、近い将来にポスティングでの移籍を容認する姿勢を打ち出している。
 ダルビッシュはこれまで自らの野球人生について「人間の限界が分からないから、自分の理想のピッチングが何なのか、どこにあるのかは答えられない」と話すなど、常に新たなステージ、高みを目指しているのは事実。パ開幕から1週間あまり。ダルビッシュの周辺は早くも騒がしくなってきた。
 ▽海外移籍するには? 海外移籍が可能なFA権は9年(1年は145日の出場選手登録)で取得できる。ダルビッシュは昨年までの1軍出場登録日数は4年93日で、海外FA資格を得るのは最短でもあと4年と52日、14年シーズン途中となる。さらに所属球団の承認を得て米球界入りを希望する日本選手の交渉権を、大リーグ球団が入札で得るポスティング・システムがある。最高入札額が日本側に通知され、日本球団が受諾すれば、最高額の大リーグ球団に独占交渉権が発生する。

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2010年3月28日のニュース