一二三8回7Kも…東海大相模まさかの初戦敗退

[ 2010年3月28日 06:00 ]

<自由ヶ丘・東海大相模>8回2死満塁、走者一掃の3点適時三塁打を浴び、ぼう然とする東海大相模・一二三(右)

 【東海大相模2―4自由ケ丘】第82回センバツ高校野球大会第5日は27日、甲子園球場で1回戦3試合が行われ、第3試合は今大会最注目の149キロ右腕、東海大相模(神奈川)の一二三(ひふみ)慎太投手(3年)が自由ケ丘(福岡)戦に先発。しかし緊張から直球が走らず、2―4で初戦敗退を喫した。第1試合は大阪桐蔭が初出場の東海大望洋(千葉)を9―2で下し2回戦に進出。28日は1回戦最後の1試合と2回戦2試合が行われる。

 これが野球の恐ろしさなのか。同点の8回2死満塁。一二三が6番・外野(そとの)に初球を投じた後に堅田球審がタイムをかけた。自由ケ丘の末次監督が三塁走者・板谷へ出した伝令を代走と勘違い。その確認をするために試合が止まった。
 その直後、外すつもりの直球が真ん中高めに入り右中間を破られた。「投げた瞬間打たれると思いました。制球力の甘さがすべてです」。3人の走者が本塁を駆け抜けるのをぼう然と見つめた。「時間があいたのは関係ありません」と話したが、真剣勝負の中で生じたわずか1分余りの中断が、エースのリズムを微妙に狂わせてしまった。
 8回6安打4失点。プロも注目した大会屈指の剛腕は「今まで味わったことがない緊張で、直球が走らなかった」と振り返った。試合開始直後から捕手の大城卓に変化球を多めに要求したが、7回までの4安打はすべてカーブだった。126球のうち87球投じた直球は最速146キロを記録。だが、そのうち35球がボールと制球に苦しみ、変化球を狙い打たれた。
 優勝候補の重圧を克服するために、門馬監督はセンバツ前に大学生との練習試合を3試合組んだ。15日の横浜商大戦。一二三は序盤は直球、中盤はカーブ、終盤はフォークと軸になる球を変えて9回で自責点3と大学生をてこずらせた。自慢の直球と多彩な変化球に手応えを感じていたが「技術うんぬんじゃなく、気持ちの弱さが出てしまった」とうつむいた。
 まさかの初戦敗退に門馬監督は「負けた悔しさはあるが、この敗戦で一回り大きくなってくれれば」とさらなる成長に期待を寄せた。「夏にすべてを克服して戻ってきたい」。夏に向け、エースは「強い心」を課題に挙げた。
 <自由ケ丘 外野が会心の一打!一二三を攻略>自由ケ丘(福岡)は8回2死満塁で外野が一二三の速球を打ち砕いた。高め直球を右中間へ3点三塁打。「優勝候補から打ってやろうと思っていた。直球が高めに浮くのを張っていた」と会心の一打に胸を張った。昨秋まで控え捕手で、打撃を買われ今春から一塁手に転向した6番は「特に右方向へ強く打つことを心掛けて練習を積んできた」と言う。「対戦相手は意識しない。次も全力で」。創部46年目の初出場でV候補を倒した自由ケ丘が大会に旋風を巻き起こすかもしれない。

続きを表示

2010年3月28日のニュース