決勝スクイズ!日産自動車まだ終わらない!

[ 2009年8月23日 06:00 ]

<日産自動車・JR東日本東北>5回1死三塁決勝のスクイズを決めた北山と生還した伊藤(右)は、ベンチ前で抱き合う

 都市対抗野球大会第2日は22日、東京ドームで1回戦1試合と2回戦3試合が行われた。今季限りの休部が決定している日産自動車は、新人・北山恵丞(けいすけ)内野手(22)の決勝スクイズなどで2―1で勝利。11年ぶり3度目の頂点に向けて力強く第一歩を踏み出した。セガサミーは上津原詳投手(24)が大会完封一番乗りで2年連続初戦突破。第4試合は大会史上2度目のタイブレーク方式の末、大阪ガスが勝ち、ホンダとともに3回戦進出を決めた。

【試合結果


 【日産自動車2-1JR東日本東北】この1勝の重みは分かっている。だからこそ勝利の瞬間、ナインは優勝したかのように歓喜した。

 「大きな1勝。まだこのメンバーで試合ができますから。われわれの野球は終わらない。続きます!」。久保監督の絶叫は一塁側スタンドの応援団約6500人の歓声にかき消された。

 今年2月、経営方針見直しの一環で今季限りの休部が宣告された。最後の夏。とにかく勝ちにこだわった。1―1で迎えた5回1死三塁から新人の北山だ。内角直球に体全体で覆いかぶさるようにしてスクイズを決めた。「手に球が当たっていい」と決死の覚悟で決勝点をもぎ取った。休部を知らされた2月は練習に参加していたが、まだ入社前。「頭が真っ白になった」と振り返る。それでも新人6人で話し合い「あこがれの日産でやれるなら、たとえ1年間でもやりたい」と覚悟を決めた。練習では最後の年にかける先輩ナインの気迫に押されて、疲労も重なって練習後に20分倒れ込むこともあった。

 投げては5年目で初の東京ドームマウンドとなった石田が踏ん張った。4安打1失点、無四球完投。横浜工場総務部人事課に所属する投手陣最年長の27歳右腕は「会社の人に恩返しがしたかった。同僚から励ましも多い。5年間戦力になれなかったしまだ終わりたくない」と顔を紅潮させた。

 活動は今秋の日本選手権までだが、ナインはこの夏に懸けている。「優勝したら会社も考え直してくれますかね」と北山。出場29度目。84、98年と2度の優勝を誇る名門の夏は簡単には終わらない。

 ≪日産社員ドッ!今大会初の大入り袋≫日産自動車が登場した第2試合は3万2000人の観衆を集めて、今大会初の大入り袋が関係者に配られた。日産自動車が約6500人、JR東日本東北は約15000人の社員、関係者が詰め掛けた。日産自動車野球部事務局の大田翔さん(26)は「応援に協力したいという社員の問い合わせが多く、入場案内などで協力してもらいました。こんなことは今までありませんでした」と社内の関心も高いことを明かした。

 <JR東日本東北 想定外のスクイズで…>3年ぶりの出場も無念の初戦敗退。3回1死三塁から桂田の中前打で同点としたのが精いっぱいだった。昨年までのエース摂津(ソフトバンク)が抜けた穴を埋めるべく猪原(いはら)、森内が必死に踏ん張ったが、打線が振るわなかった。5回は四球、捕逸で1死三塁からスクイズで決勝点を献上。「スクイズは想定していなかった」と悔やんだ阿部監督は、3階席まで埋め尽くした大応援団の声援に応えることができずに肩を落とした。

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2009年8月23日のニュース