錦織、ヒヤリ逆転発進 第1セット落とし「ヤバかった」

[ 2015年10月6日 05:30 ]

第3セット、チョリッチのサーブを腕いっぱい伸ばしてレシーブする錦織

テニス楽天ジャパン・オープン シングルス1回戦

(10月5日 東京・有明テニスの森公園)
 世界ランキング6位で第2シードの錦織圭(25=日清食品)が逆転勝利で連覇への第一歩を踏み出した。同38位のボルナ・チョリッチ(18=クロアチア)に2―6で第1セットを奪われたが、6―1、6―2で取り返した。初日としては大会最多(記録の残る92年以降)となる1万314人の大観衆の前で、日本のエースが期待に応える結果を残した。7日以降の2回戦では、世界50位のサム・クエリー(27=米国)と対戦する。

 1万人を超える観客の頭上に灰色の雲がひしめいていた。それがそのまま垂れ込めてきたかのように会場を覆う空気は重く、冷たく沈んでいた。錦織は18歳を相手に開始直後の4ゲームを連取されると、あっさり第1セットを落とした。

 「相手の守りがよくて決めきれずに焦ってしまった。ボールも浅くバランスを崩せなかった。あのままいっていたらヤバかった」。第1サーブの確率はチョリッチの71%に対して46%止まり。凡ミスも続きストローク戦でも主導権を握れなかった。

 だが、経験を積んだ25歳にはここから踏ん張れる底力があった。「自分のミスでポイントが終わらないように心掛けた」と確実性を高め、「(チョリッチは)身長の割にはサーブは強烈ではない」とより攻撃的に踏み込んで相手サーブを叩いた。第2セットの第2ゲームで初めてブレークに成功。サーブは低調なままだったが、ラリーは完全に支配した。第2セットを奪い返し、第3セットも第1ゲームをブレークすると、重苦しかった空気は軽やかに流れた。

 例年は前週のマレーシアから連戦していたが、今年は1回戦負けした全米オープン後はデ杯のみの出場にとどめた。「マレーシアでプレーした時の方が調子はいい。でも上海もある。それを見据えて今年は出なかった」。マレーシア、日本と2週連続優勝を達成した昨年は、翌週の上海マスターズでガス欠となって初戦敗退。今年はマスターズ制覇が目標だけに、そのための日程を組み、苦しみつつも日本での初戦をしっかりクリアした。

 44年の歴史を持つ今大会で、初日としては昨年の6253人、過去最高だった96年の6928人も上回る最多動員となった。原動力はもちろん錦織。「初日からたくさんのお客さんの中でプレーできて幸せ。週末に向けていいテニスを見せたい」。エンジン全開となるのは、まだこれからだ。

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