八百長問題 伊藤座長「グレーがいっぱい。うん十人」

[ 2011年3月5日 06:00 ]

特別調査委員会会合に出席した伊藤滋座長

 大相撲の八百長問題の全容解明を目指す特別調査委員会は4日、東京・両国国技館で5回目の会合を開いた。同委員会は携帯電話による解析を開始したことを明かしたが、伊藤滋座長(早大特命教授)は「グレーがいっぱい。うん十人」と調査が難航していることを吐露。18日の会合で最終報告することを目指しているが、疑惑力士の増加で完全に行き詰まった。

 調査委員会の伊藤座長はこの日、携帯電話の解析を開始したことを明かした上で「特別調査委は苦労の連続。携帯は14人の力士の中で数台しか着手してない。調査も1カ月はかかる」と調査が行き詰まっていることを示唆。調査対象についても「グレーがいっぱい。うん十人」と声を張り上げ、疑惑力士が14人から20人以上に広がっていることを暗に認めた。

 調査委は先月22日の理事会で「正直に申告すれば処分を軽減する」という苦肉の策を提案した。この“司法取引”的な調査により、疑惑力士が増える結果となった。疑惑をかけられている14人のうち現在、関与が認められているのは竹縄親方(元幕内・春日錦)ら4人だが、調査の段階では他に少なくとも3、4人が“クロ認定”されている。ここに来て状況が変わってきたことを踏まえ、この日再度の聞き込み調査を行うことを決定。伊藤座長は「きょうは情報が錯綜(さくそう)した。(聞き込みが)情緒的になるのは危険だから、もう一回供述をやることになった」と説明した。

 調査委は11日と18日に会合を開くことを決定。伊藤座長は18日にも「(調査結果を)収れんしたい」と夏場所開催を視野に入れているような発言をした。だが、携帯電話による物証が乏しい状況では、処分を決定すること自体、大きな危険を伴う。処分が遅れれば、夏場所の開催にも影響を及ぼす。全容解明の糸口がつかめない調査は、ますます難航するばかりだ。

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2011年3月5日のニュース