白鵬は八百長関与を完全否定せず「ないとしか言えない」

[ 2011年2月10日 06:00 ]

聞き取り調査を終え、引き揚げる白鵬 

大相撲八百長問題

 横綱・白鵬(25=宮城野部屋)が9日、東京都墨田区の宮城野部屋で会見し、八百長問題による春場所中止決定後初めて報道陣に対応。自身や周囲の八百長関与を問う質問には「ないってことしか言えない」と明確に否定せずあいまいな言い回しに終始。憶測を呼ぶ発言となったため、日本相撲協会が宮城野部屋関係者を事情聴取し、関係者が説明に追われた。白鵬は同日夜に特別調査委員会による事情聴取を受けた。

 春場所の中止が決定した6日から体調不良を訴え自宅静養を続けていた白鵬が、ようやく口を開いた。「まず全国の皆さん、相撲を愛する皆さんに力士代表として心からおわびをしたい」と頭を下げ、現在の心境を「心に1つ大きな穴が開いた」と表した。

 春場所では元横綱・朝青龍の持つ史上1位の7連覇に挑むはずだったが、「自分自身にとっても験の良い場所の1つなので一言で言えば残念」と無念さをにじませた。年内の全ての巡業が中止となったことにも「地方の方々と仲良くなり1人でも2人でも相撲ファンが増えるのは大事。本当に寂しく思う」と悲しげな表情を浮かべた。

 ただし、八百長疑惑の本質を突く質問には本心を隠したままだった。報道陣から「横綱自身が八百長にかかわったり見たり聞いたりしたことがあるか」という質問が2度も出たが、1度目は「相撲があって私自身がある。また精進していかないといけない」とはぐらかすように回答。2度目に「それは“ない”ってことしか言えないじゃないですか」と苦笑いしながら答えた。

 母国語でないため真意と異なる表現になった可能性はあるが、その言い方は、自身や周囲の関与を含め八百長の存在を明確に否定しなかったとも受け取れる。八百長問題発覚後、八百長が過去にもあったのかとの質問を受けた放駒理事長が「ありません」と強い口調で即答したのとは異なり、憶測を呼ぶ発言となった。相撲協会は真意を確かめるため、宮城野部屋関係者を通じて事情を聴取。自身の関与についての回答ではなく、見たり聞いたりしたこともないという意味だったことを確認したという。

 本来ならこの日は、モンゴルで労働英雄賞に次いで権威のある「スフバートル勲章」を受けるためエルベグドルジ大統領に面会するはずだった。モンゴル政府関係者によれば八百長問題を受けて白紙になったという。

 夜には都内のホテルで約1時間にわたり、特別調査委員会による全関取を対象にした事情聴取を受けた。今後は出稽古などは行わず、宮城野部屋で非公開での稽古を続けていく。「まずゆっくり考え、心を整理しながらやっていきたい」。その表情は暗く沈んだままだった。 

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