もう2敗目…日馬富士 綱プッツン

[ 2009年7月17日 06:00 ]

<名古屋場所5日目>日馬富士(手前)は阿覧にはたき込まれ早くも2敗目

 大関・日馬富士の今場所での綱獲りが事実上消滅した。大相撲名古屋場所5日目、日馬富士は初顔の平幕・阿覧にはたき込まれ、早くも2敗。春場所が10勝止まりだったため今場所は1敗が昇進の最低ラインとされており、武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)も場所後の昇進に否定的な考えを示した。白鵬と朝青龍の両横綱、琴欧洲と琴光喜の両大関の計4人が全勝を守った。

 場内がため息に包まれた。立ち合い、日馬富士は鋭く当たり、もろ手で阿覧を突いた。土俵際へ後退した相手を見ると、闘牛のようにもう1回突進。しかし、苦し紛れのはたき込みにばったり手をついた。5日目にして平幕相手に2敗目。この瞬間、名古屋での綱獲りは事実上終わった。
 「土俵際で(相手の体が)起きたから、もう一発いこうと思ったんだけど…。結果は結果だからしようがない。綱獲りアウト?全然考えてないです」。琴奨菊に敗れた3日目は笑みを交えて振り返る余裕もあったが、この日は険しい表情でVTRを見ながら思わず舌打ちした。
 阿覧には夏場所前の出羽海部屋への出稽古で苦しめられた。勢いある突っ張り、押しに自分の相撲が取れなかった。「初顔で嫌な感じ?なかったです。オレは大関ですからね。何をされても受けて立ちますよ」と話したが、重圧と苦手意識が土俵上で焦りを生んだことは間違いない。引き揚げる際に無数のフラッシュを浴び「顔が焼けちゃうよ」と精いっぱいの冗談で強がる姿が痛々しかった。
 夏場所こそ14勝1敗で初優勝を飾ったが、春場所が10勝止まり。綱獲りには今場所は1敗が最低条件だっただけに、武蔵川理事長は「平幕に負ければ印象は良くないし、2敗だからな。厳しいでしょう。(前半戦は)全勝でいってもらいたかったから残念」と“終戦”を宣言。続けて「ただ今場所だけじゃないから巻き返してもらいたい」と奮起を促した。残り10日間全勝なら来場所に希望が残る。プレッシャーから解放された日馬富士が輝きを取り戻せるかどうか。

続きを表示

2009年7月17日のニュース