オグシオ万感!涙のラストゲーム5連覇締め

[ 2008年11月17日 06:00 ]

表彰台で優勝カップを手に笑顔を見せる小椋(左)と潮田

 オグシオが最高のフィナーレを飾った。バドミントンの全日本総合選手権最終日が16日、東京・代々木第2体育館で行われ、女子ダブルス決勝で今大会を最後にペアを解消する小椋久美子(25)、潮田玲子(25=ともに三洋電機)組が、北京五輪4位の末綱聡子(27)、前田美順=みゆき=(23=ともにNEC・SKY)組に25―23、21―19で2―0でストレート勝ちした。5連覇は79~84年の米倉・徳田組の6連覇に次ぐ史上2番目の記録。アイドルペアが惜しまれながら最後の試合を終えた。

 潮田の絶妙なショットが決まった瞬間、アイドルペアの顔がくしゃくしゃに崩れた。握手し、抱き合った。タオルでぬぐった目には見る見る涙があふれる。「1秒でも長くコートに立っていたかった」と振り返った小椋は中腰で下を向いた。「言葉にできない」と潮田はコートにひざまずいた。目を真っ赤に腫らした2人は、8年間という一緒に過ごしてきた長い時間をかみしめるように、コートにたたずんだ。
 3年連続で同じ顔合わせとなった決勝。「どっちに転んでもおかしくなかった」と2人が口をそろえた第1ゲームは、大熱戦だった。奮起したのは潮田。「自分たちがこの4年間(の日本)を引っ張ってきたのは間違っていなかったことをもう一度、証明したかった」。計4回のジュースの末に25―23でもぎ取った。
 第2ゲームは、2人が一体となった。15―19と大きくリードされたが、ここから2人の表情が明らかに変わった。「どうやってポイントを取ったか分からない。気持ち1つでやっていた」と小椋。切れ味鋭いスマッシュ。気迫で相手の前田のミスを誘った。6連続得点で勝利を決めた。
 大会開幕前日の11日、2人はペア解消という衝撃の発表をした。北京五輪後、小椋は12年ロンドン五輪への意欲を強くしていたが、燃え尽きた潮田は引退を迷った。そんな潮田に小椋が伝えたという。「4年間、同じ気持ちで戦えるパートナーと戦いたい」。言葉は最後通告のような冷たさがあるが、自分の意欲が逆に潮田の決断を鈍らせているのではないかとの配慮が、小椋にはあったはずだ。
 「オグッチは素直に言ってくれたけど、言いにくかったと思う」と潮田。小椋は「私の気持ちを分かってくれた玲ちゃんの気持ちを大事にして、これからも頑張りたい」と話した。べたべたした友情だけではない、強いきずな。会見で涙を浮かべた2人は最後に「ありがとう」と言い合った。
 三洋電機がチームとして戦う日本リーグではペアを続けるが、国際大会や全日本はこれが最後の雄姿。優勝者は自動的に来年の代表となるため、小椋は新パートナーを探し、現役を続行しながらロンドン五輪への気持ちを見つめ直す潮田も、違うパートナーと来年も活動する予定だ。アイドルペアという呼び名に似合わない強さを見せて、最後の日本一を達成したオグシオ。強いきずなはそのままに、これからは別々の道を歩き始める。

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2008年11月17日のニュース