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「えんそく」 ライブハウスで効果的な換気の実証実験

[ 2021年6月13日 13:58 ]

 電気通信大学を中心とした研究チームが12日、都内のライブハウスで、マイクロ飛まつに配慮したライブ音楽イベントの実証実験をビジュアル系バンド「えんそく」と行った。同チームは4月25日に女性アイドルグループ「仮面女子」とも実証実験を行っており、今回で2回目。

 会場には、場内で計測される二酸化炭素濃度がリアルタイムで表示されるモニターを設置。ドライアイスを使って実際の満室時のライブと同程度の二酸化炭素濃度を再現し、曲と曲の合間に効果的な換気ができるかを実験した。

 その結果、部屋の使用を控えることが推奨される3000ppmを超える二酸化炭素濃度を、マイクロ飛まつ感染のリスクを抑えられるとされる1000ppm以下に下げることに約3分で成功。4月の実験では換気に約30分かかっており、同チームは換気能力の向上に手応え感じていた。厚生労働省は、新型コロナウイルス感染防止のためには1時間に2回以上の部屋の換気を推奨している。今回の実験データでは1時間あたり9・5~10回のペースで換気を行っていたと示された。

 電気通信大特任准教授の石垣陽氏は、4月時からの飛躍的な換気能力の向上の背景には、もともと備え付けてあったダクトの改修工事を行ったことにあるとした。「ライブハウスオーナーが手軽に出来るDIY換気改善の有効性を証明できた」と話した。

 石垣氏は本実験でも使用した、二酸化炭素濃度をリアルタイムで測定・可視化できるシステムの運用を既に始めており、実際に導入している市役所やワクチン接種所がある。本システムではAIによる二酸化炭素濃度の上昇予測機能があり、1000ppmを超える予測が立つと、管理者に通知が届いて換気を促すようになっている。石垣氏は「今後も実証実験を継続し、みなさんが納得のいくデータを示したい。そして、換気能力の向上とノウハウの普及・共有を進めていきたい」と意欲を見せた。

 実験のプロジェクトチーム立ち上げの発起人でもあり、「仮面女子」元メンバーで渋谷区議会議員の橋本ゆき氏は「多くのライブハウスがあることが渋谷区の魅力のひとつ。その魅力を失わせないように、安心・安全な空間作りに引き続き努めたい」と語った。

 石垣氏は「曲と曲の間に換気タイムが生まれることで、新しいスタイルのライブイベントになる」と話す。実験に参加した「えんそく」は寸劇を披露。橋本氏からは「換気タイムに何をするかは、出演者側によってさまざまなものになると思う。ファンの方も『どんな時間になるのか』というワクワク感も楽しんでもらえたら」と元アイドルならではの意見も飛び出した。

 実験には日本音楽会場協会の阿部健太郎氏、CHCシステム株式会社の渋谷俊彦氏、量子科学技術研究開発機構の盛武敬氏、電気通信大学教授の横川慎二氏も参加した。

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2021年6月13日のニュース