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バランス大事?北島への国民栄誉賞見送りか

[ 2008年8月26日 06:00 ]

 北京五輪が閉幕し、政府は、男子平泳ぎで史上初の2大会連続2冠を達成した北島康介(25=日本コカ・コーラ)への国民栄誉賞授与の本格的な検討に入った。ただ、ほかに活躍した選手とのバランスを考慮すべきだとの意見や、北島が現役を続ける場合は時期尚早との指摘もあり、見送られる可能性も出てきた。

 福田康夫首相は25日、北京五輪の印象を記者団に問われ「感動的な場面がたくさんありましたね」と述べた。ただ、国民栄誉賞を「誰に授与するのか?」という問いには「皆さんそれぞれ一生懸命やり、素晴らしい成果を挙げた。全員国民栄誉賞ものだ」とけむに巻いた。
 町村信孝官房長官も記者会見で「北島選手は素晴らしい活躍をした」と重ねて強調する一方、栄誉賞を授与するかどうかは「そのうち検討することになる」と述べるにとどめた。
 国民栄誉賞は、福田首相の亡き父、赳夫首相の内閣が77年に創設。「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績」を挙げた人物が対象。具体的な基準はなく、政府関係者は「福田首相の判断次第」と指摘する。
 北島に国民栄誉賞を授与すれば、人気にあやかって内閣支持率アップが期待できそうだが、首相は「人気取りと言われるのを嫌がっている」(政府筋)とされる。
 首相の発言が歯切れが悪いのは、ほかにも理由がある。今回の大会で日本勢が獲得した金メダル9個のうち、北島の2個を含めて7個がアテネ五輪金メダリストの連覇。五輪終盤からは、球技で32年ぶりの金メダルに輝いた女子ソフトボールチームや、男子の陸上トラック種目で初のメダル獲得を果たした四百メートルリレーメンバー(銅メダル)などの活躍も高く評価され、頭を悩ませているようだ。
 森喜朗元首相が00年のシドニー五輪女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子(36=ファイテン)に国民栄誉賞を贈った際は、同じく金メダルだった女子柔道の谷(当時は田村)亮子(32=トヨタ自動車)に授与されなかったため、抗議が官邸に殺到した経緯がある。このため、世論の動向を見極めながら慎重に判断する考えだが、今回は見送りの可能性も出てきた。

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2008年8月26日のニュース