【安田記念】前原敏行オーナー ジャックドール15戦目で初マイル参戦「負けるとは思っていませんよ」

[ 2023年5月31日 05:30 ]

G1ウイーク「時の人」

ジャックドールの写真を手に笑顔を見せる前原敏行オーナー(撮影・後藤正志)
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 G1出走関係者に迫る企画「時の人」はジャックドールを送り出す前原敏行オーナー(62)にスポットを当てる。大阪杯で念願のJRA・G1初勝利。キャリア15戦目で初めてマイルに参戦する安田記念への意気込みを聞いた。

 ――大阪杯でJRA・G1初制覇。
 「昨年、金鯱賞を勝って挑戦した大阪杯(5着)は疲れも残っていたので、今年は大阪杯から始動しました。レースは前半1000メートル通過が59秒台で行ければと思っていましたが、武豊騎手は58秒9で運んでくれました。この時に“勝てるのでは”と思って見ていました。完璧に条件がそろわないと勝てないのがG1だということを感じたレースでした」

 ――大阪杯後の様子は?
 「レースが終わって10日ほど後、吉澤ステーブルWESTに見に行きました。凄くリラックスしていました。ONとOFFがしっかりしている。強い馬の多くは“触るな”というオーラがあるけど、とにかくおとなしい。回復が早かったですし、今までで一番、調子が良さそうでした」

 ――ジャックドールとの出合いは?
 「19年の北海道セレクションセールに上場され、藤岡先生に薦めていただきました(税込み3456万円)。当日は会社のテレビで見ていましたが、第一印象は“派手やなぁ”と。今は体が赤っぽくなっていますが、当時は金色だった。四白流星に加えて、たてがみや尻尾が金色。見た瞬間に凄い馬だと思って、一目ぼれしました。購入した当時から、今の(ジャックドールの)イメージがついていましたよ」

 ――これまで14戦は全て2000メートル。
 「デビュー2戦目(20年12月阪神未勝利戦2着)に負けた時に、距離が長いのでは?と話したら、先生はトモ(後肢)がしっかりしてくれば(距離は)大丈夫ですと。藤岡先生はぶれることがなかったですね。3歳秋の頃には、天皇賞・秋という目標がありました。そのこだわりがあったからこそ、大阪杯を勝つことができたのだと思っています」

 ――今回は初のマイル戦。
 「以前、お酒の席でジャックの適正距離はどれぐらい?と聞いたのです。僕は1800メートルと言うと先生は“マイルです”と返ってきた。その後、先生から武豊騎手もマイルがいいと言っているんですよと聞きました。僕も2000メートルのG1を勝たせてもらったので、マイルに挑戦をしても面白いと思っていた。3人の意見がバッチリと合ったので、このタイミングかなと思いましたね」

 ――いよいよ安田記念。
 「G1馬が10頭。凄いメンバーだけど、逆に楽しみです。コーナーが速い馬だし、(東京マイルは)走りやすいコースだと思います。仮に他の速い馬がいてもジャックのスピードなら好位へ行けると思うんです。どういう展開になるか今から楽しみですし、初めてのマイルでも負けるとは思っていませんよ(笑い)」

 ――今後、馬主としての夢や目標は。
 「どの馬もそうですが、レースを走って無事に戻ってきてほしい。武豊騎手がジャックドールの新たな一面を引き出してくれたので、今後も楽しみしかないです。ジャックドールが種牡馬になって、子供がターフを駆け抜ける姿を見たいですね。JRAも若い調教師が増えてきたので、どんどん応援して盛り上げていきたい。また、ジャックを超えることは難しいと思いますが、近づけるような馬を期待したい。大変な時期もありましたが、馬主をやっていて良かったと思います」

 《所有2歳馬9頭デビュー楽しみ》今週から2歳戦がスタート。前原氏が所有する今年の2歳馬は9頭を予定している。藤岡厩舎に入厩するアルアイン産駒のアルシャリフ(牡)は来週開幕する函館でのデビューへ向け、着々と調整が進められている。前原氏は「現在、3頭が馬名登録を済ませています。デビューへ向けて徐々にピッチを上げながら、無事にレースを迎えたいね」と初陣が待ち切れない様子だった。

 ◇前原 敏行(まえはら・としゆき)1960年(昭35)8月23日生まれ、京都市出身の62歳。高校卒業後、不動産会社勤務を経て98年に独立。住宅事業、土地開発や京都競馬場近くのホテル・淀キャッスルインの経営などを手がける(株)ホームズ創業者で、代表取締役社長を務める。

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