【NHKマイルC】9番人気シャンパンカラーが美酒 内田は5年ぶりG1制覇

[ 2023年5月8日 05:20 ]

G1・NHKマイルC ( 2023年5月7日    東京芝1600メートル )

<NHKマイルC>ウンブライル(左)の猛追を頭差で制したしたシャンパンカラー(撮影・村上 大輔)
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 勝利の美酒はシャンパンで。3歳マイル王決定戦「第28回NHKマイルC」が7日、東京競馬場で行われ、9番人気シャンパンカラーが優勝。鞍上の内田博幸(52)はノンコノユメで制した18年フェブラリー以来5年ぶりのG1勝利となった。管理する田中剛師(62)はこれが今年初勝利で、16年安田記念(ロゴタイプ)以来6個目のG1タイトルを手中にした。

 雨中の混戦にウチパクあり。単勝22・2倍、青ダイヤモンドの勝負服が先頭でゴール板に飛び込むと、どよめきと祝福の拍手が雨音を消し去った。「ジョッキーやめられないよ!」。シャンパンカラーの馬上で52歳が喜べば、周囲には笑顔の花が咲いた。

 道中は12、13番手。田中剛師が「目をつぶった」と振り返る“想定外”の後方スタートにも、内田は焦らなかった。「他が速かったので合わせる必要はないな、と。馬場のいいところを気分良く走らせた」。やや重発表以上に時計がかかる芝で前半5F通過は58秒4。同じくやや重の大混戦をピンクカメオで差し切った07年も同58秒5のハイペースだった。

 鞍上の経験則通り、先行馬の脚色は早々に鈍る。唯一の誤算は手綱から伝わる手応えが良すぎたこと。外を回っても、あっという間に先団に取り付けた。「早めに先頭に立たないようにだけ気をつけた」と残り300メートルで満を持して仕掛ける。これが功を奏し、ゴール直前、大外一気ウンブライルの強襲を驚異的な粘り腰で頭差抑えきった。

 内田は5年ぶりのG1美酒。07年まで4年連続で地方の全国リーディングを獲得し、08年に大井から中央へ移籍した剛腕は「地方ではやり尽くした感があった。JRAの舞台で武豊さんの牙城を崩したいと思った」と当時を振り返る。翌09年に武豊を抑え、リーディングを獲得。10年にはダービージョッキーになった。しかし、度重なるケガに加え、時代の波にも抗えず、昨年は移籍後最低の22勝。「体は大丈夫だし、負けない気持ちだってある。それでも時代が若い子にスイッチしていくのは仕方がないこと。中央に挑んで、ゴールドシップとのかけがえのない出合いがあって、またこうしてシャンパンカラーに出合えた。やめられないよ」。52歳9カ月12日でのG1制覇は歴代4位の年長記録。また、中央競馬史にウチパクの名が刻まれた。

 今年の初勝利がG1となった田中剛師は「5月になってやっと…。そういう運命になっていたのかな」と安堵(あんど)の表情。今後については「オーナーと相談してから。まずは休ませたい」と伝えた。東京マイルで3戦3勝。厩舎の大先輩ロゴタイプはマイルと中距離の2階級制覇を成し遂げたが、はたして――。たとえどんな舞台が選ばれても、最上級ダイヤモンドの色を名付けられた優駿は、再び輝きを放ってくれるだろう。

 シャンパンカラー 父ドゥラメンテ 母メモリアルライフ(母の父レックレスアバンドン)20年3月3日生まれ 牡3歳 美浦・田中剛厩舎所属 馬主・青山洋一氏 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績5戦3勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億6548万7000円。馬名の由来は最上級のダイヤモンドの色(クリアなブラウン)。

 《青山オーナー自信あった》
 実業家の青山洋一オーナーは、ジュエラーで制した16年桜花賞以来、JRA・G12勝目となった。「手応え良く上がってきましたので、直線を向いたときに、これなら勝ち負けになると思いました」と振り返る。「本当に関係者の皆さんが頑張ってくれました。2戦2勝の舞台なので、正直自信はあったんですが、本当に勝ててうれしいです」と喜んだ。今後については「これから先生と話をして考えたいと思いますし、今のところは未定です」と話した。

 《社台ファームは21年ぶり》
 生産牧場の社台ファームは02年テレグノシス以来、21年ぶり2度目のNHKマイルC制覇。JRA・G1は皐月賞(ソールオリエンス)に続き、今年2勝目で通算98勝目。山元トレセンの上水司場長は「馬場を考えると時計も良かったですし、いい勝ち方でした」と満足顔。「牧場ではテンションに気をつけて乗っていますが、大人になってきたのか心身のバランスが少しずつ取れてきました。まだまだ良くなる余地がありますね」と今後にも期待した。

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