【川崎】騎手紹介⑤ 目標は3000勝!淡々と勝利を積み上げるベテラン・今野忠成の挑戦は続く

[ 2021年8月29日 12:00 ]

3000勝を目標に掲げる今野忠成
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 川崎競馬で3番目の年長騎手の今野忠成(44)は、06年から神奈川県騎手会の会長を務めているリーダー的な存在だ。8月5日の大井4Rでは、ジュニパーダンスで1着となり、地方競馬通算2600勝を挙げた。94年10月のデビューから2万3447回目の騎乗での達成だった。「全然そんなのは気にしてなかったけど、周りが言ってくるから。ちょっと時間がかかった感じですね」。一つ一つの騎乗を大切にしているベテランだけに、節目の勝利も通過点としか考えていない。

 競馬サークルへの道は兄が導いてくれた。「兄が上山競馬場で騎手を目指していたのですが、体重がなかなか落とせなくて騎手にはなれませんでした。〝おまえ、体が小さいからやってみるか〟と言われて、そのときはやりたいことがなかったので。試験を受けて合格しました」。騎手の夢がかなわずに厩務員となった兄の後押しがなければ、現在の栄光はなかった。

 デビュー8年目の01年金盃(大井)で重賞初制覇を果たした。「石崎(隆之)さんとか張田(京)さんとか凄いトップジョッキーが乗っていたインテリパワーに、秋山(重美)先生から〝乗ってみるか〟と言われました。印象に残っていますね」。そこから数多くの栄冠を手にし、重賞の勝ち鞍は45に及んでいる。

 最も印象に残っている馬は、07年のジャパンダートダービーを制したフリオーソだという。「利口でゲートを待っているような馬だった。僕もそのとき初めて乗らせてもらって、凄い力のある馬だなという印象はありましたね。(今まで乗った馬で)馬力が一番あったかもしれない」と振り返る。

 安定した成績を収められているのは、技術に優れていることに加え、大きなケガがないからだ。その秘けつを問うと「特にない。依頼があって仕事をしているだけ。その馬の能力を最大限に出すことを心掛けて乗っている」と答えた。自分を前面には出さず、騎手としてプロフェッショナルに徹している。それを実現するために、休日は整体やハリ治療などに多くの時間を割く。中央競馬をテレビで見ることも多く「どういう乗り方をしているか見ている」と研究にも余念がない。「趣味は競馬かもしれない」というのもうなずける。

 新型コロナウイルス感染症拡大により無観客開催が続いている。「僕なんかは野次を言われることが多いですけど、期待されていないと野次も言われないので応援のうちだと思っている。また久々に野次を聞きたい」。観客との距離が近い競馬場に、一日も早くファンが戻ってくれることを切望している。

 この先に見据えているのは通算3000勝だ。「そこまではやりたいですね。大きいケガをしなければ続けたい」。ベテラン騎手の挑戦は、まだまだ続いていく。

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2021年8月29日のニュース