黒岩師 チャンピオントレーナー直伝の“帝王学”継承する30歳

[ 2013年9月13日 06:00 ]

 「あの格好は調教師というよりも大学生だよな」。膝を叩きながら大笑いする藤沢和師の脇を、斜めがけバッグ姿の童顔が通り過ぎる。一昨年12月、平成に入ってから最年少記録となる30歳で調教師免許を取得した黒岩師。なるほど、街頭で学生アルバイトのビラを渡されそうな外見だが、言葉を交わせば情熱と才能がほとばしる。

 「管理馬の額を触っただけで体温が分かるような接し方が大切。親が我が子にするような身近な付き合いです」と切り出した同師。「幼い子供と同じで馬はしゃべれない。訴えたいことをしぐさからつかみ取るのも我々の役割です」。理想論ではない。前日に計画した追い切りメニューを馬の気分によって当日変更する。「きょうは走りたがってないな、強い調教は少し先に延ばそうとか。おっ、やる気になってるな、予定より強く行ってみようとか」

 日本獣医生命科学大卒業から競馬学校入学までの2年間、トレセン近郊のミホ分場(育成、放牧施設)で藤沢和師に競走馬のイロハを徹底的に叩き込まれた。チャンピオントレーナー直伝の“帝王学”。「敗戦には必ず理由がある」。藤沢和師の口癖を語った愛弟子。「開業初勝利まで75連敗したんですから、敗因をかみしめながら反省の日々です」

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2013年9月13日のニュース