【ジャパンC】マウントアトス メルボルンCの雪辱懸ける

[ 2012年11月21日 06:00 ]

競馬学校のダートコースで調整するマウントアトス

 外国馬はソレミアだけじゃない。今週は競馬の祭典「ジャパンC」。競馬評論家・合田直弘氏がスポニチ本紙に特別寄稿し、4頭の英国勢をピックアップ。日本通の調教師が、東京向きの馬を送り込んできたと警鐘を鳴らした。中でもスリプトラのロジャー・ヴェリアン師(33)は夫人が日本人という究極の日本通だ。

【ジャパンC】

 凱旋門賞でオルフェーヴルを破ったソレミアに、皆さんの目はどうしても向くだろうが、今年は英国4頭にも注目してほしい。メルボルンCに出走したレッドカドー、ジャッカルベリー、マウントアトスの3頭は豪州から呉越同舟の来日。輸送、白井(競馬学校)での検疫と一緒に行動できたのは、調整面で楽だったはずだ。

 レッドカドーのダンロップ師は来日しない方向と聞くが、豪州に遠征する前から、豪州の次は日本と明確に指針を打ち出していた。スノーフェアリーでエリザベス女王杯連覇を果たし、日本をよく知る師が、「勝てなくても2着はある」と胸算用をしての参戦だ。

 マウントアトスのクマーニ師も残念ながら来日しないと聞くが、メルボルンC(5着)では、直線入り口で2~3メートルははじき飛ばされ、道中2度にわたって他馬と接触する不利。その内容を悔やみ、この馬のJC参戦を強く主張したのは、ほかならぬアルカセットで優勝経験(05年)のあるクマーニ師自身だったと聞く。ここが今季5戦目という、ゆったりとしたローテーションにも好感が持てる。

 英国調教馬なのに、今季ここまでの6戦中5戦が海外というジャッカルベリーは間違いなく旅慣れており、環境の変化には抜群の対応力を持っているはずだ。

 これも日本通のヴェリアン師が「東京への適性あり」とみて参戦するのがスリプトラだ。3カ月ぶりの出走となるが、師によると「フレッシュな状態で本領を発揮する馬」とのこと。ただし、勝つには「キャリアベストの走りをする必要がある」とも語っている。

 英国馬4頭はいずれも硬い馬場が得意で遠征経験も豊富だから、日本の競馬への適性は高そうだ。ただし、能力的に、アウェーで日本のトップクラスを超える水準にある馬はいない。唯一、掲示板に載る可能性があるとすれば、5歳を迎えた今季になって素質が開花し、さらに伸びしろのありそうなマウントアトスか。(競馬評論家)

続きを表示

2012年11月21日のニュース