【京成杯AH】57歳の新人がサクセスの道切り開く!

[ 2012年9月5日 06:00 ]

【京成杯AH】ネオサクセス(牡5=古賀史)と三野輪厩務員は、人馬共に再出発で重賞Vを狙う

 57歳の1年生厩務員が担当馬での初重賞制覇にチャレンジだ。「京成杯AH」にネオサクセスを送り込む三野輪典夫厩務員(57)は、78年ダービー馬サクラショウリの調教にもまたがったベテラン。ホースマン歴40年以上を誇るが今春、調教助手から厩務員へと転身。担当馬での初タイトルを目指す。

 運命に引き寄せられるように昨年暮れ、人馬は出合った。ネオサクセスは管理していた鈴木勝師の勇退に伴い、昨年12月21日付で古賀史厩舎に転厩。三野輪厩務員も境征厩舎が解散し、同20日に移った。「共に転厩したてのコンビ。これも巡り合わせ。いい馬を任され、期待に応えたいと思った」と振り返る。

 以前は調教助手として数々の名馬にまたがってきた。橋本、丸目厩舎所属時には、その腕を高く評価され、同門の久保田彦厩舎にいたサクラショウリの調教を担当し、78年ダービー馬へと導いた。

 そんな腕利きに転機が訪れた。今年3月に調教助手から厩務員に転身。騎手を目指し、15歳で競馬サークルに飛び込んでから40年以上も馬に乗り続けてきたが、新たな立場で馬と接することとなった。「乗れないことはないが年齢的なものもある。古賀先生にはお世話になっているし、結果を出せるよう、厩務員の道を選んだ」。馬上に未練はあるが、馬房での作業に徹することで厩舎に貢献する道を選んだ。

 57歳からの再出発。年下のスタッフも多い。それでも同厩務員は「年は取っても厩務員としてのキャリアは浅い。知ったかぶりになったら駄目。スタッフや息子にアドバイスを受け、やっています」。一から、ひたむきに取り組む。

 “新人厩務員”の父を支える次男・亮さんは土曜中山メーン・紫苑Sに担当馬アイスフォーリスを送り込む。父子での土日メーン制覇がなれば最高だ。「あいつが勝つなら俺も勝つよ。親子の夢だから。今回はチャンスだと思う。具合は確実に良くなっているし、能力をまだ隠し持っている気がするんだ」。1年契約で移ってきた古賀史厩舎も、来年2月いっぱいで離れることになるという。「ここでお世話になっている間に何とか結果を残したい」。57歳の新人厩務員は目を輝かせた。

 ≪ベテランの味≫美浦はベテラン厩務員が元気。腕利きで知られたのは昨年の3歳牝馬戦線を盛り上げたホエールキャプチャの蛯名幸作さん(65)。70年桜花賞馬のタマミなどを育て、昨年秋に定年。その間際に挑戦した秋華賞は3着だった。来年12月で定年の長島五郎厩務員(63=杉浦)は02年NHKマイルCをテレグノシスでV。現在は京成杯AHに出走するレオアクティブを担当する。

 ▽厩務員 トレセンで担当馬(基本2頭)の飼養管理、手入れ、引き(乗り)運動などを行うが、騎乗してコースで調教することはできない。調教厩務員の資格を取れば担当馬のみ調教騎乗ができる。担当馬を持ちながらも、担当でない馬の調教ができる調教助手は「持ち乗り助手」。担当馬を持たず、調教に専念する調教助手は「攻め専」と呼ばれる。

 ◆三野輪 典夫(みのわ・のりお)1955年(昭30)3月9日、福島県生まれの57歳。親戚に騎手がいたため競馬の世界を志す。70年、東京競馬場で騎手見習となるが体が大きくなり断念。調教助手に転向し橋本厩舎に所属。丸目、山岡、境征勝厩舎と移籍し、昨年12月に古賀史厩舎へ。趣味はマラソン。

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2012年9月5日のニュース