【笹川賞優勝戦】井口、逃げ切り“排水の陣”制した

[ 2012年5月28日 06:00 ]

<笹川賞>優勝戦で、1周目2マークを先頭で回る井口(1)

 ボートレース浜名湖で熱戦を繰り広げてきた「第39回笹川賞」(優勝賞金3500万円)は27日、最終12Rで優勝戦が争われた。1枠の井口佳典(34=三重)が堂々の逃げ切りで09年12月の賞金王シリーズ以来のSG制覇、08年に続く2度目の笹川賞奪取を成し遂げた。2着にはトップスタートから差しに切り替えた菊地孝平が入った。

 見た目には逃げ圧勝、それでもハラハラ、ドキドキのVドラマだった。渡辺がイン奪取を狙って絞り込む。慌てて小回りブイ際にねじこんだ井口の艇が傾き大量の水が入り込んだ。必死になってスポンジで排水。スタートの時間が来てもまだ水は残っている。このままでは舟の起こしや行き足が微妙にずれる。「菊地さんが前付けに来たのも知らなかった。とにかく水を出すことで精いっぱいで…」。タイミングはやはり遅れ気味。だが、強パワーに仕上がっていたエンジンが後押ししてくれた。

 笹川賞でうれしいSG初戴冠を果たしたのは4年前のこと。その年は賞金王決定戦をもぎ取って一気に頂点に駆け上がった。「あの頃はイケイケだった。Sさえ決めればエンジンなんかどうでもいいと…」。しかし今シリーズは違った。新ペラ制度に移行して初のSGとして注目されたが、井口も見事に変身していた。ペラ調整に真剣に取り組み、体重も初めて50キロを割るまでに減量(この日は49・6キロ)。8戦し、トップスタートはたったの1回。それでもスランプ脱出の勝利を飾った。

 「笹川賞を獲るからあんたも女子王座を目指せ、と女房(真弓選手)と約束したんです。果たせてホッとした。復活と書いてください」と胸を張る。いや、「復活」ではなく、新たな井口の「誕生」だ。

 ◆井口 佳典(いぐち・よしのり)1977年(昭52)8月22日生まれの34歳。三重支部所属。99年10月登録の85期生。銀河系軍団と呼ばれる同期には田村隆信、丸岡正典、湯川浩司、田口節子らがいる。初優勝は02年2月の若松一般戦。08、12年笹川賞、08年賞金王、09年賞金王シリーズを含み通算43V。1メートル67、50キロ。血液型A。

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