【ヴィクトリアM】不気味な最速娘ラズベリー

[ 2011年5月11日 06:00 ]

 【G1ドキュメント・10日】栗東の空は低く、風が強い。上岡があいさつすると、中尾師は空を見上げてつぶやいた。「ひと雨来そうやね」。スタンドから厩舎へと戻りながらの取材、幸いメモする時に邪魔な雨は落ちていなかった。話題はワイルドラズベリーへ。休み明けをひと叩きしての出走だ。

 「1回使ってリラックスしている。力みが取れた感じ。この前は張り切り過ぎというか、ムキになって走っていた。今は去年の秋と変わらない雰囲気」

 昨秋はローズS2着、秋華賞4着と惜しい競馬。そして続くマイルCSでは古馬相手に大外から末脚勝負を挑んだが、0秒5差の8着に終わった。「あの時点での古馬との力差じゃないですか。でも時計は悪くない。今回も持ち時計は1番だからね」とのトレーナーの言葉に気付かされた。確かにマイルのベストタイムは出走メンバー中で最速だ。マイルCS時に記録した1分32秒3は、ブエネビスタの1分32秒4よりも、アパパネの1分32秒8よりも速い。これが「一番競馬しやすい距離だと思う」とアピールする理由だ。脚質は「一瞬切れるけど長くは脚を使えない」というタイプ。千八や二千では甘くなる。この距離の切れ味勝負は望むところ。柔和な笑みで中尾師は締めくくった。

 「人気しないでしょう。面白いんちゃう?」

 気楽な立場で一発狙い。不気味なムードが漂っていると上岡は感じていた。

続きを表示

2011年5月11日のニュース