【NHKマイルC】世界を見据え…ボス父の弔いVだ!

[ 2011年5月3日 06:00 ]

<NHKマイルC>ウィリアムスとのコンビで真価を発揮したい2歳王者のグランプリボス

 3歳マイル王決定戦「第16回NHKマイルC」で主役を務めるグランプリボスは、4月30日に死んだ大種牡馬サクラバクシンオーの子。父譲りのスピードと瞬発力で朝日杯FSを制して2歳王者に輝いており、2つ目のG1獲りを狙う。勝てば英国ロイヤルアスコット遠征も視野に入ってくる。G1恒例「データBOX」も同馬をイチ押しした。

【NHKマイルC データBOX 追い切り】

 父に手向けのVを…。4月30日、グランプリボスの父サクラバクシンオーが死んだ。内国産2代目種牡馬としてかつてないほどの成功を収めてきただけに、競馬界の喪失感は大きい。

 「もともと狙っていたレースですが、余計に頑張らないと」と安藤助手もその話題に大きくうなずいた。テスコボーイから連なるこの父系は日本競馬界の象徴と言っても過言ではない。この馬もいずれは種牡馬として、父系の血を後世に引き継いでいく役目がある。

 今年の2戦はスプリングS4着、ニュージーランドT3着と敗れているが課題は明らか。いずれも道中かなり行きたがっていた。「折り合いが難しかった」と陣営も認めている。ただ久々、それに続く中1週での競馬。気合が乗りすぎる要因は確かにあった。「今回、折り合いは大丈夫だと思う」と安藤助手は手応えありの表情だ。「先週、ウィリアムズに乗ってもらって、ポリトラックでヘニーハウンドと併せたが、がっちり抑えが利いていた。いい追い切りができたし、ジョッキーも感覚をつかんでくれたはず」

 調教で進境を見せての叩き3戦目。教科書通りに走り頃だ。周囲には「バクシンオー(の血)が出てきたのでは?」と偉大なスプリンターだった父を引き合いに出し、距離を危惧する声もある。しかし、この馬自身がマイルG1を勝っているし、体形は十分にマイルをこなせる伸びやかさ。血統面でも、祖父サクラユタカオーは中距離馬、曾祖父テスコボーイはマイラーだ。母の父サンデーサイレンスの万能性を含めて距離をこなす素地はある。ここは“先祖返り”を期待したいところだ。

 登録している英国G1セントジェームズパレスS(6月17日、アスコット芝1600メートル)に遠征するかどうかは「このレースの内容次第」(矢作師)。曾祖父テスコボーイも走ったアスコットマイル(1966年クイーンアンS1着)の舞台。45年を経て、日本で育った直系子孫が走る姿をぜひ見たい。G12勝目を挙げれば世界への扉が一気に開く。

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2011年5月3日のニュース