【ドバイWC】ヴィクト世界一!香港&凱旋門も「行きます」

[ 2011年3月28日 06:00 ]

ゴール直後に雄たけびを上げる、ヴィクトワールピサ騎乗のデムーロ騎手

 ドバイから勇気と希望が届いた。26日(日本時間27日未明)、世界最高の賞金総額1000万ドル(約8億1000万円)を争う国際G1、ドバイワールドカップでヴィクトワールピサが日本馬として初の勝利を収めた。2着にも日本のトランセンドが続き、日本馬のワンツー・フィニッシュ。競馬ファンだけではなく、日本を元気づける歴史的快挙となった。

【ドバイWC日本調教馬の成績 日本調教馬の海外G1勝利】

 世界の強豪を抑え、ヴィクトワールピサが先頭でゴール。厩舎スタッフの松田助手と滝川助手が飛び出す。角居師は涙をこらえながらウイナーズサークルへ。日本馬が初めてドバイワールドカップを制した瞬間だ。

 ゴール後に派手なガッツポーズを決めたデムーロは「信じられない。直線が凄く長く感じた。日本を愛してます」。そう言うと、勝負服の右袖につけられた喪章にそっと手をやった。

 意外な形でレースは進んだ。まさかの出遅れ。道中はブエナビスタよりも後ろ、最後方で1コーナーを回っていく。「ゲートが日本より狭いので尻込みをして下がり、発馬時に頭をぶつけた」とデムーロ。それでも「スローペースだったので、外へ出して最終的にグッドポジションを取ることができた」。最後方から逃げたトランセンドの2番手に押し上げる絶妙の手綱さばき。ゴールで半馬身抜け出した。

 角居師は「日本に希望と頑張る勇気を」の思いを形にした。自身の海外G1は4勝目。ドバイは10回目の挑戦で初勝利だ。「(結果が出たのは)諦めなかったから。(今回の大震災で)被災した方も大変だと思いますが、諦めないでほしい」。これまでも諦めない心で数々の壁を打ち破ってきた。カネヒキリでは多くの名馬が引退に追い込まれた屈腱炎を最先端の幹細胞移植手術で克服。ウオッカではダービーを牝馬として64年ぶりに制覇。何度も挫折を味わいながら、挑戦し続けたことが日本の競馬史を塗り替える快挙につながった。

 次走は香港のクイーンエリザベス2世C(5月1日、シャティン芝2000メートル)の予定。会見で「オーナーと相談して」と角居師が言葉を濁すと、市川オーナーが「行きますよ」と鶴の一声。プレスから「凱旋門賞は?」の質問に、今度は「行きましょう!」とデムーロ。角居師は笑って「行きます」と続けた。今後はワールドツアーの青写真が描かれている。世界の頂点に立ったヴィクトワールピサの挑戦は終わらない。

 ◆ヴィクトワールピサ 父ネオユニヴァース 母ホワイトウォーターアフェア(母の父マキャヴェリアン)牡4歳 栗東・角居厩舎所属 馬主・市川義美氏 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績13戦8勝(うち海外3戦1勝)獲得賞金約10億8716万円。

 ▽ドバイワールドカップ 世界有数のオーナーブリーダーでもあるドバイのシェイク・モハメド殿下の発案で96年創設。当時の世界最高賞金レースだった米国ブリーダーズCを超す賞金で世界から強豪を集めた。現在の賞金総額は1000万ドル、1着賞金600万ドル。ナドアルシバ競馬場(ダート2000メートル)から昨年、メイダン競馬場の全天候型オールウエザーに舞台が変更された。

 ◇ドバイワールドカップ(GI)メイダン・オールウエザー2000メートル(14頭)

(1)ヴィクトワールピサ(デムーロ)2分05秒94
(2)トランセンド(藤田)1/2
(3)モンテロッソ(バルザローナ)1/4
(4)ケープブランコ(スペンサー)1/4
(5)ジオポンティ(ドミンゲス)3/4
(8)ブエナビスタ(ムーア)

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