小牧男泣き「今夜は吐くまで飲む」/桜花賞

[ 2008年4月14日 06:00 ]

検量室を出た小牧は、顔をタオルでぬぐう

桜花賞をレジネッタで制した小牧太騎手(40)は04年に公営・園田競馬から中央に移籍して以来初のG1制覇。悲願達成に涙が止まらなかった。

【GIパネル


 大波乱の主役は白いタオルを握ってお立ち台へ上がった。目には涙。「ファンの皆さんに…」。小牧がそう言った瞬間、こらえていたものが一気にあふれた。タオルを目に押し当て、5秒ほど次の言葉が出ない。「本当にお待たせしましたと…。今まで悔しい思いばかりしてきて…この勝利で救われた」
 レジネッタを完ぺきにゴールへ導いた。道中は10番手外で折り合った。トールポピー、リトルアマポーラの前でチャンスをうかがい、2頭よりいい手応えで4コーナーを回った。残り300メートル、小牧が左ムチを振り上げると432キロの小柄なボディーがうなりを上げた。ポピーもアマポーラも置き去りに。ムチを持ち替え右から6発。エフティマイアを力強くかわして先頭へ。ゴールに飛び込む前に小牧は右腕を上げていた。
 「本当に長かった。半分あきらめた時期もあった。一生懸命やっていたらいいこともあるんやね」。園田競馬のトップ騎手として鳴り物入りで中央入りしてから5年目。G1勝ちを期待されたが縁はなかった。痛かったのは04年朝日杯FS(ペールギュント)で3着に敗れたこと。「1番人気で臨み、凄く緊張して負けた。それがすべての始まり」と小牧は振り返る。
 その後、目に見えて騎乗馬が減った。調教でも所在なげに座っている時間が増えた。園田から後輩の岩田が中央入りし、次々とG1をさらっていく。焦りはあったが、大好きなコブクロの曲を聴き、気持ちを落ち着けた。「岩田君のことは意識していない。乗っている馬が違うんだから。まあ負け慣れていて、勝ちを急がなかったことが今回は良かったかな。道中も辛抱が利いたね。今夜は吐くまで飲むよ」。5年間、我慢を重ねた小牧。その集大成がこの桜花賞だった。
 皐月賞はスプリングSの覇者スマイルジャックでVに挑む。「1つ勝てて気分的には楽。馬に緊張を伝えずに臨めるよ」。G1のお立ち台で泣くのが小牧の夢だった。2週連続の男泣きへ全力を尽くす。

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2008年4月14日のニュース