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40歳・星大二郎 最後の全日本は準決勝で涙 村田諒太氏&清水聡と同級生のレジェンド、リングに別れ

[ 2025年11月30日 05:00 ]

ボクシング全日本選手権準決勝 ( 2025年11月29日    東京・ひがしんアリーナ )

試合後に家族と村田氏(左)、清水氏(右)と写真に収まる星
Photo By スポニチ

 各階級の準決勝が行われ、男子ミドル級に出場した40歳の星大二郎(和歌山県庁)は2―3の判定負け。最後の全日本選手権で18年ぶりの優勝を目指したが、かなわなかった。

 レジェンドの挑戦が終わった。1回こそ優位に立った星だったが、徐々に八木大河(東農大)の圧力に屈し、最後は力負け。僅差で敗れ、惜しくも準決勝敗退となったが、40歳の勇姿を見届けた場内からは大きな拍手が送られた。「こんなに応援してもらえると思わなかった。勝ち負けは関係ないと思っていたが、欲が出てきた」。

 アマチュアボクシング界への恩返しのため2年前の全日本選手権から9年ぶりのカムバックを果たした。「今の若い子に少しでも何か与えられたら」とリングで生きざまを見せ続けてきた。それでも今年10月で40歳に。大会参加資格が得られる最終年となり、今年がラストチャンスだった。初詣では「定年が45歳までに延びますように。お願いしますゴロフキン会長」。国際統括団体「ワールド・ボクシング(WB)」で新会長となった元ミドル級世界王者のゲンナジー・ゴロフキン氏(43=カザフスタン)に願ったほどだ。

 準決勝の直後、リング上で抱擁を交わした東農大の後輩・八木は目をこすっていた。「後輩とはこれまで何度もやってきたが、負けたのは2人だけ。その成松(大介)と森坂(嵐)はどっちも五輪に行った。(八木が)やめる、やめへんと言っていたから、続けなさいと伝えました」。進退に悩んでいた後輩を最後まで気にかけ、熱い言葉で背中を押していた。

 05年から全日本3連覇を成し遂げ、東農大在学中には北京五輪代表候補にもなったレジェンド。この日は元WBA世界ミドル級スーパー王者で12年ロンドン五輪金メダリストの村田諒太氏、同銅メダリストの清水聡(大橋)の同級生も応援に駆けつけた。

 昨年はライトミドル級での出場だったが、最後の全日本は増量して一階級上で臨んだ。「僕の世代といえば村田諒太が代名詞。村田といえばミドル級。この階級は、譲れなかった」と戦友への感謝の思いも表現。30日の決勝に進出していれば、東農大時代の後輩で元4階級制覇王者・井岡一翔(36=志成)も来場する予定だったという。

 試合後はリング中央でしゃがみ込み、マットを右拳でぽんと叩いた。「ずっと考えていたんですよ。桑田のあれ。血がついてたので、キスまではできへんかった」。巨人で背番号18を背負い、平成の大投手として知られる桑田真澄氏が1997年にカムバック登板の前に見せた、マウンド上で右手をプレートに添える、伝説のシーンを再現したことを明かした。

 「みんなには鬱陶しオッサンと思われたかもしれないが、いろんなアドバイスもできた。ボクシングをやる選手も増えたと思うし、自分の草の根の活動が身を結んだのかな」。使命を全うし満足そうなベテランの表情は、誰よりも輝いていた。

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