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井上尚弥 33秒間の超接近フェースオフ 「燃えてきました。腹が立ったので」 さあダブル世界戦

[ 2023年7月25日 05:15 ]

計量をパスし、フルトンとにらみ合う井上(撮影・島崎忠彦)
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 ダブル世界戦の前日計量が24日、横浜市内で行われ、WBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチに臨む前4団体統一世界バンタム級王者の井上尚弥(30、大橋)は55・2キロ、王者スティーブン・フルトン(29、米国)はリミットの55・3キロでパスした。フェースオフでは約33秒間にわたってにらみ合うなど、無敗同士の世紀の一戦へ早くも火花が散った。

 計量台では笑顔を見せていた井上の表情が、一変した。フェースオフでフルトンとにらみ合うと、関係者に制されても約33秒、目をそらさず。互いの顔は約3センチの距離まで縮まるなど一触即発ムードだった。

 「燃えてきましたね、腹が立ったので」と井上は顔を紅潮させた。怒りの理由について問われると「顔?視線の送り方ってあるじゃないですか。ちょっと上から来てんなと…。上等だよ、と思います」と王者の“上から目線”に珍しく感情をむき出しにした。

 18年、体重調整で計量に1時間10分遅刻してきたマクドネル。19年の公開練習時に井上の父・真吾トレーナー(51)を突き飛ばした陣営のロドリゲス。これまでモンスターを怒らせた相手は、ことごとく無残にキャンバスに沈んだ。高まるKO決着の期待。それでも、本人の頭の中は冷静だった。「(フルトンが)打ち合ってくれたら、それはそれで爆発的なものは出せる」としながら「明日(25日)は技術戦になると思う。そういう(怒りの)感情は抑えたい」と冷静にポイントアウトする戦術も示唆した。

 完璧に仕上がった新階級ボディーも披露した。肩周りや下半身はフルトンにも見劣りせず。スーパーバンタム級転級初戦で見事に適応し「もう120%仕上げた。1つ階級を上げたからといって、たるんだ体ではなく、しっかりと筋肉をつくり上げた。(バンタム時代と)全然違う」と自信を口にした。

 井上が拳を痛めたことで、5月7日から延期された一戦。キャリア初の延期期間を経て、ついにベールを脱ぐ新モンスター。「(体重の上限が上がった)1・8キロの壁がどんなものなのか。自分がバンタム級で通用したものが通用するのか、まだまだ未知な部分はあるんで。明日それを証明したい」。怒りを抑えるように話した井上の目は、闘志に満ちていた。

 ≪井上尚弥、過去の怒怒怒≫
 ☆アドリアン・エルナンデス(メキシコ) 14年4月のWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ計量時、かじりかけのバナナを井上に差し出す余裕ぶり。試合は井上が6回TKO勝ちして初の世界王座獲得。

 ☆ジェイミー・マクドネル(英国) 18年5月、WBA世界バンタム級タイトルマッチ前日計量で体重を落とすために開始予定の午後1時から1時間10分も遅刻。井上はバンタム級転級初戦で1回TKO勝ちして王座を獲得。

 ☆エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ) 19年5月WBSS準決勝前の公開練習時、ロドリゲスの練習風景を撮影していた父・真吾トレーナーに、ロドリゲス陣営が不満をあらわにし真吾トレーナーを突き飛ばす。試合は井上が2回KO勝ち。

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