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井上尚弥「ドラマにするつもりはない」有言実行の2回TKO圧勝 「ドネアがいたから輝けた」と感謝

[ 2022年6月7日 22:02 ]

<世界バンタム級王座統一戦 井上尚弥・ノニト・ドネア>三団体統一に成功した井上を称えるドネア(撮影・長久保 豊) 
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 プロボクシングの世界バンタム級3団体王座統一戦は7日、さいたまスーパーアリーナで行われ、WBAスーパー&IBF同級王者の井上尚弥(29=大橋)がWBC同級王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)に2回1分24秒TKO勝ちし、日本人初の3団体統一王者となった。19年11月以来2年7カ月ぶりの再戦で返り討ちにし、WBA王座7度目、IBF王座5度目の防衛にも成功。WBO同級王者ポール・バトラー(33=英国)との4団体王座統一戦へ前進した。

 布袋寅泰が生ギターを奏でる中、引き締まった表情でリングに上った井上尚。1回、終盤に井上尚の右ストレートがドネアの顔面を捉え、いきなりダウンを奪う。2回もその勢いのままにドネアを圧倒し、猛攻から左フックで完全勝利を収めた。

 試合後、「やりました!いやー懐かしい。2年7カ月前、ここでドネアと戦って以来の熱気。本当に力をもらいました、みなさんありがとうございました」と観客に感謝した井上尚。そして1ラウンドについて「ドネアの左フック、開始早々もらってピリついて、しっかり試合を立て直すことができた。(1回の)最後の右ストレートはあまり感触はなかったんですけど、インターバル中に映像を見たらかなりきくタイミングで入っていたので、自分がやってきた練習は間違いじゃないぞと、そういう思いで2ラウンドに入りました」と振り返った。

 勝負を決めた2回については「ドネアの返しの左フックだったり、パンチは生きているように感じたので、それほど攻め急がずに攻めたんですけど。ここで終わらせなければ自分の価値観だとこの先のステージに進めないと思ったので、この2ラウンドで決めようと、攻めましたね」。

 あの名勝負から2年7カ月ぶりの再戦で完全勝利を収め、「やる前から言葉にしていたのが“ドラマにするつもりはない”と。この試合は圧倒的に、一方的に勝つとプレッシャーをかけてこの試合に臨んだ。この結果になって本当にホッとしていますし、この先ひとつ上のステージに行けるのかなと思います」と胸を張った井上尚。

 そして「ドネアがいたからこそバンタム級で輝けた。そしてWBSSの決勝から今日まで、ドネアがWBCに返り咲いてこのリングに2人で上ったことがこの感動を生んだと思うので、本当にドネアに感謝したい」と相手への感謝を口にした。

 3つのベルトを手にし、残るはバトラーの持つWBOだけとなった。今後について「目標としている4団体統一、その統一戦が年内かなうとするならばまだバンタム級で戦います。そしてその4団体統一戦が困難もしくはかなわないとするならば、スーパーバンタム級に上げて新たなステージで挑戦していきたいと思います」と新たな挑戦への意欲を語っていた。

 ◇井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日生まれ、神奈川県座間市出身の29歳。新磯高(現・相模原弥栄高)時代に高校7冠などアマ通算81戦75勝(48KO・RSC)6敗。12年10月プロデビュー。14年4月にプロ6戦目でWBC世界ライトフライ級王座獲得。同12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、8戦目で2階級制覇。18年5月、WBA世界バンタム級王座を獲得して3階級制覇達成。19年5月にIBF同級王座獲得、同11月にはWBSSバンタム級トーナメント優勝。身長1メートル65、リーチ1メートル71の右ボクサーファイター。

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