辰吉寿以輝が対左の“テストマッチ”に判定勝ち 丈一郎は「下手クソやなあ」と恒例の辛口
プロボクシング日本スーパーバンタム級12位の辰吉寿以輝(27=大阪帝拳)が18日、大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪第2競技場でスーパーバンタム級8回戦に臨み、チャイワット・ブアトクラトック(タイ)を判定3―0(79―73、78―74、77―75)で下した。宣言通りのKOとはならず、勝利後のリングで寿以輝は「倒して勝ちたかった。手応えは全然ないです」と渋い表情を見せた。
相手のチャイワットは過去41勝(27KO)9敗の左構えで、22年10月に中嶋一輝(大橋)と対戦した際に2度のダウンを奪っている難敵。辰吉にとってタイトル挑戦を見据えた、対サウスポーの“テストマッチ”だった。
序盤から寿以輝がプレスをかけ、いきなりの右や右ボディーストレートを軸に主導権を握った。その一方で左カウンターをたびたび被弾。3回に偶然のバッティングで左まぶたをカットして以降は距離を詰め、攻勢を強めた。6回に左ボディーを効かせ、続く7回に右ボディーからの左フックで相手にたたらを踏ませ、ロープ際まで後退させた。ただ、この回に今度は右目尻の上をカット。セコンドの吉井寛会長から「倒せよ!!」と送り出された最終8回は自身の血で染まりながら攻めた。
寿以輝の父で、元WBC世界バンタム級王者の丈一郎(54)はリングサイドで見守り、いつもながらの辛口評価を下した。「下手クソやなあ。相手の正面に立っているから、こうなる。相手がオーソドックス(右構え)なら1~2回で終わってる。サウスポーが相手やから判定までいった」。陣営はバンタム級とスーパーバンタム級の両にらみで地域タイトル獲得を目指している。丈一郎は「(両階級の)日本王者はサウスポー?絶対、無理や」と言い切った。
控室に戻った寿以輝は「(最終8回はKOで)決めたかった。(相手が)フラフラしていたから。もっとやりたいことがあった。(ステップやボディーワークなど)もっと動く練習もしていたし」とKOを逃した上、練習の成果を出し切れなかったことを悔やむ。不完全燃焼の要因は対サウスポーというよりも、相手の身体的特徴やボクシングスタイルに起因する部分という。「やりにくかった。手が長いし、独特のリズムがあった。サススポーへの苦手意識はない。スパーもしっかりやっていたし」と説明した。
吉井寛会長は「“可”やな。左との対戦は初めてに近い。何とかしてくれて最低限はパスした。ただ、もう少し上手に動いてほしかった。(KOの)チャンスはつくるけど、その後に倒すところまでは…。右が相手なら、それができるけど。正直、倒してほしかった」と、やはり渋い表情。寿以輝は左構えと初対戦し、負傷引き分けとなった20年11月の今村和寛(本田フィットネス)戦に続き今度も、まぶたに傷をつくった。同会長は「傷が完治しないと。少し間隔を空けて(次戦は)早くて年末ぐらいか」と見通しを説明。世界挑戦へ近づくため、日本や東洋、WBOアジアパシフィックなど地域タイトル獲得が当面の目標となる。「チャンスが来たら、いかなアカンしなあ」。陣営は傷の回復具合を確かめつつ、バンタム級、スーパーバンタム級の動向を注視していく。
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