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尚弥 新グローブでドネアと完全決着の一撃「こんなにワクワクする試合は久しぶり」

[ 2022年6月7日 05:30 ]

WBA・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦   WBAスーパー&IBF王者・井上尚弥《12回戦》WBC王者ノニト・ドネア ( 2022年6月7日    さいたまスーパーアリーナ )

ポーズをとる井上(左)とドネア(撮影・郡司 修)
Photo By スポニチ

 世界バンタム級3団体王座統一戦の前日計量が6日、横浜市内のホテルで行われ、WBAスーパー&IBF王者・井上尚弥(29=大橋)はリミットの53.5キロ、WBC王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)は100グラム軽い53.4キロで一発パスした。日本人初の3団体統一王者を目指す井上は今回、メキシコ・レイジェス社製のグローブを初導入。ハードパンチャーにふさわしい“武器”で、2年7カ月ぶりの再戦で完全決着を狙う。

 大橋ジムの大橋秀行会長は計量直前、井上のつぶやきに驚いていた。「いやー、寂しいなあ。喉が渇いている、この瞬間が終わっちゃうなんて」。現役時代、減量に苦しんだ大橋会長が「凄い。余裕というか、不思議だ」と苦笑するほど仕上がっていた。計量ではシックスパックの腹筋を披露し、ドネアと12秒間のにらみ合い。「コンディションは本当に100点。こんなにワクワクする試合は久しぶり。明日は思う存分暴れたい」と話した。

 19年11月の初戦では11回にダウンを奪ったが、仕留めきれずに判定勝ちだった。11月に40歳を迎える5階級制覇王者に「花道をつくる」と公言する今回はプロ23戦目で初めて、メキシコの老舗レイジェス社製のグローブを導入する。大橋会長によると「本人の希望。いろいろなグローブを試して、(レイジェスが)握りやすいと言っていた」という。

 世界中で愛用されるレイジェスは、ナックル部分の詰め物が薄くパンチの衝撃力が伝わりやすいとされ、“KO量産グローブ”と呼ばれてきた。大橋会長は「今はみんな一緒」と差はないと説明したが、レイジェスは柔らかく拳を握りやすいのも特長。デビューから日本製だった井上は、昨年6月の試合で米グラント社製を初導入した際も「使いやすい」を理由にしており、グリップを利かせた一撃を打ち込む“武器”として選んだとみられる。

 強打者向きながら拳を痛めやすいともいわれるレイジェスを使うのは、かつてケガが多かった拳の強度への自信とも受け取れる。ビッグマッチにふさわしいKO決着へ。「ドネアに、これがラストマッチという意気込みや気迫を感じた」と気持ちを引き締めた井上は「明日はSSA(さいたまスーパーアリーナ)で待ってるよ。瞬(まばた)き厳禁!!」とツイッターに記した。

 ▽初戦VTR 19年11月7日、さいたまスーパーアリーナで、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝として対戦。2回にドネアの左フックを被弾したWBA正規&IBF王者の井上が右眼窩(がんか)底を骨折しながらも、11回に左ボディーでダウンを奪取。レフェリーが井上の追撃を制止した上にカウントのスタートも遅く“幻のKO”となったが、3―0の判定勝ちでドネアからWBAスーパー王座を奪った。

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2022年6月7日のニュース