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並木月海、銅に悔し涙 女子・入江に続く表彰台も0―5判定負け “五輪引退”揺れる胸中…

[ 2021年8月5日 05:30 ]

東京五輪第13日 ボクシング女子フライ級級準決勝 ( 2021年8月4日    両国国技館 )

<東京五輪 女子フライ級準決勝>クラステバ(左)と激しく打ち合う並木月海(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 女子フライ級準決勝で並木月海(22=自衛隊)はストイカジェリャスコバ・クラステバ(35=ブルガリア)に0―5の判定で敗れ、銅メダルが確定した。12年ロンドン大会から採用された女子ボクシングでは3日にフェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈(20=日体大)に続く2人目の表彰台となった。

 初出場の夢舞台でメダル獲得。しかし、欲しかった色ではなかった。ミックスゾーンに姿を見せた並木は涙をこらえながら言葉をつないだ。

 「率直にやっぱり悔しいという気持ちが一番大きい。今大会1ラウンド目を取れなかったことがなかったので、そこでテンポが崩れたことが敗因かな」

 序盤から積極果敢に攻めた。だが、世界選手権で連続銀メダルを獲得したこともあるベテランから有効打を奪えず、逆にカウンターを浴びる場面が目立った。1回を1―4で失うと、2回以降も流れを引き戻すことはできなかった。

 「一番いい色のメダルを獲りたかった。今までやってきたことの結果が銅メダルだと思うけど、悔しい気持ちが大きい」と、こぼれる涙を拭った。

 高校時代無敗だった並木が初めて“壁”にぶつかったのは社会人1年目だった。17年愛媛国体で敗戦。ボクシングをやめることも考えたが、「負けを経験して勝ちたい気持ちが強くなった。もっとボクシングと向き合い、どうしたいかを自分で考えなくちゃいけないと思った」。本気で東京五輪での金メダルを目指すことを決めた。

 練習への取り組みが変わり、体のケアなども意識するようになった。戦い方も自分で考え、試行錯誤を繰り返した。身長1メートル53。鋭いステップインが武器だが、踏み込めば当然、距離は近くなり、リーチが短いことが不利になる。

 並木が追求したのは「打たせて当てさせずに打つ」。まず相手のパンチを引き出し、それをよけて攻撃する。小柄で俊敏性があってこそのスタイル。準々決勝までは3戦連続で5―0の完勝と、小さい体でも世界で戦えると証明した。

 3年後のパリ五輪は「目指すつもりはなかった」。だが、今は心が揺れている。「あと3年もっと努力をしたら金メダルを獲れるのかなと思う。一回落ち着いて、自分のボクシングともう一回向き合って考えていきたい」と含みを持たせた。

 【並木 月海(なみき・つきみ)】☆生まれとサイズ 1998年(平10)9月17日生まれ、千葉県成田市出身の22歳。身長1メートル53の左ファイター。名前の由来は「中秋の名月」から。「親が美しいという漢字はつけたくなかったらしく、月に海。自分は結構好き」

 ☆格闘技 幼稚園から極真空手、小3からキックボクシングを始める。中学入学時に「普通の女の子になりたくて」格闘技を離れたが、1年で物足りなくなり、フィットネス感覚でボクシングを始める。WBA世界スーパーフェザー級王座を11度防衛した内山高志に憧れ、花咲徳栄高へ進学。

 ☆実績 高校時代は27戦全勝。14年全日本ジュニア選手権ライトフライ級優勝。15、16年全国高校選抜フライ級連覇。18年世界選手権フライ級銅メダル。18、19年度アマチュア女子最優秀選手賞を受賞した。

 ☆幼なじみ キックボクシングの“神童”那須川天心とは空手の支部が同じ。幼稚園の年中で初めて出た大会の決勝で対戦して敗戦。小学生時代にも何度か対戦。現在も交流があり、「憧れというよりも抜かしたい」。

 ☆趣味&好み 趣味は実家の犬と遊ぶことと、お菓子作り。「ガトーショコラや生チョコタルトは結構いけるかも」。好きな俳優は綾野剛で、綾野が出演したテレビドラマ「空飛ぶ広報室」がお気に入り。

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2021年8月5日のニュース