歴史に名を刻んだ藤岡奈穂子 東京五輪で後輩ボクサーの活躍に期待

[ 2021年7月23日 08:00 ]

藤岡奈穂子
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 ボクシングの日本人女子世界王者2人が今月9日(日本時間10日)、米ロサンゼルスで防衛戦を行った。WBA女子世界フライ級王者・藤岡奈穂子(45=竹原慎二&畑山隆則)とWBO女子世界ライトフライ級王者・天海ツナミ(36=山木)。結果は藤岡がスレム・ウルビナ(メキシコ)に判定勝ちして3度目の防衛に成功、天海はセニエサ・エストラーダ(米国)に判定負けして王座陥落と明暗を分けたが、勝敗はともかく、女子ボクサー、しかも軽量級の選手がボクシングの本場・米国のリングに立ったことは偉業とも言える。両選手には大きな拍手を送りたい。

 藤岡は宮城・古河女子高時代はソフトボールの遊撃手として活躍し、実業団のトーテック時代を含めて国体に5度出場。アマチュアボクシングを経て09年9月にプロデビューし、日本人で唯一となる世界5階級制覇も達成した。過去にドイツ、メキシコでの試合を経験し、「キャリア最終目標」として米国での試合を希望していた。8月に46歳になるが、終盤まで衰えない驚異的なスタミナを発揮し、ベルトを死守。「勝てて、まだ少しボクシングを続けることができるのでうれしい」というコメントが印象に残った。

 出発前に空港で取材させてもらったが、驚かされたのは、そのポジティブな思考だった。実はプロモーターから航空券が届いたのは出発前日の夕方。普通ならドタバタしそうな状況だが、藤岡はまったく慌てていなかった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、搭乗には72時間以内の陰性証明も必要。藤岡はチケットが届かず、出発日が変更になった場合に備えて、この日もPCR検査の予約を入れていたという。「○○だからできない」ではなく、常に「やるために、どうするか」を考える。アスリートに限らず、一流と呼ばれる人たちに共通する前向きな思考を持ち、行動しているからこそ、環境や状況が変わっても力を最大限に発揮できるのだろう。

 過去に米国で世界戦を闘った日本人女子ボクサーは09年7月の風神ライカ(竹原慎二&畑山隆則)と12年7月の真道ゴー(クラトキ)の2人で、ともに挑戦者として臨み、判定で敗れている。藤岡は米国での世界戦で初めて勝った日本人女子選手として歴史に名を刻んだ。あまり大きく報道されなかったのは残念だったが、道を開き、後輩ボクサーたちに新たな可能性を示した価値は大きい。

 23日に開会式が行われる東京五輪では、ボクシング競技に初めて日本人女子選手が出場する。フライ級の並木月海(自衛隊)と入江聖奈(日体大)はともに有力なメダル候補だ。12年ロンドン五輪から実施された女子ボクシングでメダル獲得なら、もちろん史上初の快挙。両選手には女子ボクシングにスポットライトが当たるような活躍を期待している。(記者コラム・大内 辰祐)

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