前世界王者と現東洋太平洋王者が対戦するワケ…伊藤雅雪「こういう状況だからこそ盛り上がるカードを」

[ 2020年9月6日 08:30 ]

11月5日に墨田区総合体育間で行われる伊藤雅雪(左)三代大訓のポスタービジュアル(横浜光ジム提供)
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 プロボクシング興行「カケルホールディングス Presents A-SIGN.BOXING」(11月5日、墨田区総合体育館)で前WBO世界スーパーフェザー級王者・伊藤雅雪(29=横浜光)と東洋太平洋同級王者・三代大訓(25=ワタナベ)の対戦が実現する。ノンタイトルのライト級10回戦だが、世界ランク入りしている日本人同士の対戦とあって注目を集めそうだ。

 世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外渡航や外国人選手の来日は難しい状況だが、実は伊藤には海外で試合をする選択肢もあったという。これまでも試合前に米国で長期合宿を行っていた伊藤にとって2週間の隔離は越えられない“壁”ではなかった。では、なぜ日本人対決を選んだのか?先月31日に三代との対戦を発表した伊藤はこう説明している。

 「コロナがこういう状況だからこそ、国内が盛り上がるカードをやらなきゃいけないと思ったし、注目される試合をやりたかった。快諾してくれた三代選手に感謝しています。絶対に面白い試合になります」

 もちろん、三代にも試合を受けるメリットはある。現在WBC18位にランクされているが、世界挑戦を実現させるには、さらにランキングを上げる必要がある。WBO6位、WBC14位の伊藤は願ってもない相手だった。中大時代に伊藤のスパーリングパートナーを務めたことがあり、「プロを志した時から一番の憧れの選手だった」と明かし、そして、「僕は憧れを憧れのまま終わらせるつもりはない。ずっと対戦したいと思っていたし、このチャンスは絶対に逃したくないと思った」と続けた。

 リミット58.9キロのスーパーフェザー級より2.3キロ重いライト級での対戦も両者の思惑が一致している。伊藤は「タイトルが絡む試合以外はスーパーフェザーでやりたくない。わがままかもしれないけど、そのぐらい体重を作るのにストレスがあった」と明かし、「今後はライト級で戦っていこうと思っている」と明言。三代も「階級については19年12月の試合が終わってからライト級でやろうと決めていた。それに向けて体作りの準備してきてベストのタイミングでできると思う」と転級の意思を示した。

 ライト級といえば、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)がWBA、WBC、WBOの3団体の頂点に君臨する世界的にもハイレベルな階級。国内では吉野修一郎(三迫)が東洋太平洋、WBOアジアパシフィック、日本タイトルの3冠を今月3日に防衛したばかり。伊藤―三代戦の勝者が吉野と対戦する可能性もあり、最終的にはその勝者が世界へ出ていくことになるかもしれない。

 いつまでコロナ禍が続くのかは分からないが、今の状況が続くようなら、伊藤の言う「国内が盛り上がるカード」を増やしていくことが生き残る手段の一つとなる。通常なら見られなかった日本人対決も実現するかもしれない。ただ、ボクシング業界が盛り上がりにはファンの力も不可欠。伊藤と三代の一戦が今後を左右する重要な試金石になると思っている。(記者コラム・大内 辰祐)

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