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佐藤幸治 16年ぶり全日本選手権出場 プロ経験者の出場は初

[ 2019年11月19日 07:00 ]

プロ経験者では初めて全日本選手権に出場する佐藤幸治
Photo By スポニチ

 プロボクシングの元東洋太平洋ミドル級王者・佐藤幸治(38)が16年ぶりに全日本選手権(21~24日、鹿児島・阿久根市)に出場する。プロ経験者が全日本選手権に出場するのは初めて。プロ引退から7年。来年の東京五輪を目指してアマチュアとして現役復帰し、東京都予選、関東予選を勝ち抜いて全日本切符をつかんだ佐藤は「みんな自分より年下だと思うけど、戦績や経験…全てをつなげて勝ちにもっていきたい」と意気込んだ。

 ウエルター級からライトミドル級、そしてミドル級と階級を上げながら1999~2003年に全日本5連覇を達成するなどアマ13冠。05年に帝拳ジムからプロデビューし、東洋太平洋ミドル級王座を獲得して通算7度防衛、世界戦も経験した。ただ、アマ時代に、あと一歩まで迫りながら五輪出場を果たせなかったことが「ずっと心に残っていた」という。

 転機となったのは“山根騒動”だった。アマチュアを統括する日本ボクシング連盟の体制が変わり、プロアマの関係も改善。プロ経験者にも五輪への道が開けた。しかも来年の五輪の舞台は東京。年齢制限もぎりぎりクリアできる。「神様のおぼしめしだと思った」という佐藤はアマとしての現役復帰を決意。今年3月から本格的に再始動した。

 要人の警護・警備などを担う日本シークレットサービスに勤務していたが、ボクシングに専念するために休職。会社のサポートはあるものの、「生活はギリギリ」だ。それでも家族の理解を得て、プロ時代に広がった人脈も生かし、帝拳ジムや母校・日大など目的に合わせて拠点を変えながら練習を重ねて「五輪へのスタートライン」と位置付ける全日本選手権出場にこぎつけた。

 長いブランクはあるが、アマとプロの両方を経験しているのが佐藤の一番の強み。「今の自分の現状をつかめてきたし、何とかイケるじゃないか」の手応えはつかんでいる。最大のライバルは大会2連覇中で連盟推薦で出場する森脇唯人(自衛隊体育学校)。組み合わせ次第ではいきなり対戦する可能性もあるが、「体が元気なうちに戦うのも悪くはない。そこは神様に任せます」と気負いはない。

 全日本で優勝すれば、1月のアジア・オセアニア予選(中国)、5月の世界最終予選(東京・両国国技館)で出場枠確保を目指す。仮に出場枠を逃しても男子4、女子2の開催国枠もある。まずは五輪出場への最低条件となる全日本で「貪欲に勝ちにいく」だけだ。

 13日から東京五輪観戦チケット第2次抽選がスタート。ようやくボクシング競技も販売対象に加わった。「僕は(チケットは)買いません。自分が出場するんで」。その言葉に佐藤の強い決意がにじみ出ていた。

 ◆佐藤 幸治(さとう・こうじ)1980年(昭55)12月11日、福島県相馬市生まれの38歳。中3でボクシングを始め、西武台千葉高を経て日大、自衛隊体育学校で全日本選手権5連覇を達成。05年4月に帝拳ジムからプロデビュー。07年3月に東洋太平洋ミドル級王座を獲得し、4度防衛。09年にWBA世界同級王者に挑戦も失敗。同年、東洋太平洋王座を再奪取し3度防衛。12年6月に現役引退。身長1メートル81の右ボクサーファイター。家族は妻・知子さんと長男・大吉くん。

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2019年11月19日のニュース