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【浜田剛史の目】村田敗戦…流れ譲らなかったブラントの「返しの返し」

[ 2018年10月22日 10:03 ]

WBA世界ミドル級タイトルマッチ   ●王者・村田諒太 判定0―3 同級3位ロブ・ブラント○ ( 2018年10月20日    米ラスベガス・パークシアター )

村田の右よりも速く左をヒットさせるブラント(撮影・田中哲也通信員)
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 勝敗の分かれ目は6回だった。手数が多くオーバーペース気味に攻めてきたブラントに序盤のポイントを取られたのは想定内。しかし、5回に右を当ててポイントを取り返した村田は続く6回、一気に攻めることができなかった。ブラントも打ち疲れてはいたが、村田にも5回まで打たれたダメージが予想以上にあり、ペースを変える力が残っていなかった。必死に耐える必要がなくなったブラントは、休みながら手を出すことでポイントにつなげることができた。

 ブラントが良かったのは、村田に1発当てられても必ず3、4発を返していたこと。村田は相手のパンチをブロックしてから返しを打って流れを引き寄せるが、ブラントのように「返しの返し」を打つ選手は、これまでの相手にはいなかった。「返しの返し」に対しても、さらに打っていけばペースはつかめたかもしれない。だが、返された時点でガードが崩れた村田は動きが止まってしまい、攻めるリズムも同時に止まってしまった。そこからは焦って距離が詰まる前に打ってしまい、空振りして疲れては、また打たれる、と完全に悪循環に陥った。

 2回で村田が早々と左頬を腫らしてしまったのも、ブラントに有利にはたらいた。相手が傷ついたり出血したのを見ると、選手は自分が優勢だと勇気づけられるし、ジャッジが受ける印象も変わってくる。村田も右やボディーを効かせてはいたが、精神的に優位に立ったブラントを崩すまでには至らなかった。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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2018年10月22日のニュース