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内山 50連打TKOで王座統一!最強証明 13年は米国進出だ

[ 2013年1月1日 06:00 ]

4回、バスケス(右)にパンチを浴びせる内山

WBA世界スーパーフェザー級王座統一戦12回戦 ○内山高志 TKO 8回3分 ブライアン・バスケス●

(12月31日 東京・大田区総合体育館)
 8回残り32秒。内山が左右のワンツーでバスケスをロープへはじき飛ばした。過去29戦ダウン経験のない暫定王者に「レフェリーストップになるか倒れるか分からないけど考えずに」パンチを出し続けた。打ち合いを想定し練習してきた「連打」は32秒間で計50発。最後は終了のゴングとともにレフェリーが試合を止めてTKO勝ちした。

 昨年7月の5度目の防衛戦は3回負傷引き分けに終わった。「僕の中では1年ぶりの試合。白黒つけたかった」。6度目の防衛に成功し、たまっていたうっぷんを吐き出すと「ベルトは形だけのもので、強くなることが最優先」とさらなる向上心を口にした。

 33歳の誕生日だった昨年11月10日。内山は突然、思い立って母・百代さん(61)へ電報を打った。

 「産んでくれてありがとう」

 年齢的にピークを過ぎたはずの肉体はいまだに衰えを知らない。「恵まれた体に生まれたのは親のおかげ」。母の日には花を届け、10月28日の母の誕生日には外食に連れ出すなど行動で感謝を示してきたが、その気持ちを初めて言葉で伝えた。

 たった1行。それでも、心のこもった文章に百代さんは涙を流した。そして便せん3枚の手紙をしたため、試合前日の30日、関係者を介して息子に渡した。そこには、こう書いてあった。

 「産まれてきてくれてありがとう」

 母への感謝の気持ちの中には、05年にがんで亡くなった父・行男さん(享年58)の分も親孝行したいとの思いがこもっているのかもしれない。その父が付けた「高志」という名前の通り、高い志を持つ内山は米国のリングを本気で目指している。

 次の標的は04年アテネ五輪フライ級金メダリストで暫定王者ユリオルキス・ガンボア(31=キューバ)。アマ時代に内山が出場を逃したアテネ五輪で金メダルをつかみ本場米国で活躍するスーパースターだ。「決まった試合は全部勝っていきたい。もちろんビッグマッチをやりたい。ガンボアは目標」と内山。KOで復権を果たした王者が夢舞台に立つ日は近い。

 【内山―バスケス戦VTR】上下に打ち分けた内山が中盤からペースをつかみ、8回に決めた。序盤は緊迫した攻防だったが左ジャブとボディーで徐々に優位に立った。8回、残り1分を切ってから右で相手をぐらつかせると長いラッシュ。倒せなかったが、レフェリーが試合を止めた。バスケスは積極的にパンチを繰り出し、時折内山の顔面を捉えたが単発にとどまった。

 ◆内山 高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日、埼玉県春日部市生まれの33歳。埼玉・花咲徳栄高でボクシングを始め、3年時にインターハイ8強。拓大4年から全日本選手権ライト級3連覇、社会人で国体を制しアマ4冠。アマ戦績は91勝(59KO・RSC)22敗。05年7月プロデビュー。07年9月に東洋太平洋スーパーフェザー級王座を獲得。10年1月にサルガド(メキシコ)を12回TKOで破りWBA世界スーパーフェザー級王者。1メートル72・3。右ボクサーファイター。

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