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河野 KOで王座!ひたむき努力と意地、3度目挑戦で報われた

[ 2013年1月1日 06:00 ]

KOでの王座奪取に肩車される河野

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦 ○河野公平 KO 4回2分8秒 テーパリット・ゴーキャットジム●

(12月31日 東京・大田区総合体育館)
 ひたむきさも努力も、報われるとは限らないのが、勝負の常だ。

 河野は報われた。自身が「普通にやっても勝てない」と初回に感じた王者を4回、3度倒して沈めた。「ほとんどの人が負けると思っていたと思う。見返してやろうと思っていた」。ささやかな意地と誇りも報われた。

 ただ、導かれているような伏線はあった。1―2の判定だった初挑戦。10年9月の2度目は最終回にKO寸前まで追い込んだ。しかし、再起後に佐藤、戸部洋平に連敗し「世界挑戦経験のあるベテラン」は若手の踏み台になった。「今後どうするの?」と人に聞かれるのが嫌で引きこもった。引退を考えた。

 最後のチャンスがほしい。渡辺均会長に世界ランカーとの対戦を直訴した。昨年9月、判定勝ちしたタイ人世界ランカーは、テーパリットと同門の選手だった。渡辺会長は交渉に動き、「勝てるとは思わなかった」河野の挑戦がまとまった。

 早期決着を狙う王者に押されて迎えた4回。突然、河野のジャブが当たりだした。「動きながら手数」。練習を繰り返した動きが、リズムを変えた。「いけるかも」。カウンター気味の左フックで王者が前のめりに倒れる。ダメージは大きい。あとはダウンを2度追加するだけだった。

 愛称はタフボーイ。打たれ強さとスタミナと勇気が武器の、まじめな努力家。つまり、鮮烈な才能はない。「今回は覚悟が違う」。引退を懸ける覚悟すら報われにくいのが勝負だが、その試合を河野は「過去最高の仕上がり」で迎えた。運ではなく自力で準備をし、全てが報われた。だから人は、頑張れる。

 【河野―テーパリット戦VTR】強打に押され気味だった河野が一発で流れを引き寄せた。4回に左フックでダウンを奪うと、起き上がったテーパリットに連打を浴びせて再びダウン。なおも立ち上がった相手にラッシュを仕掛けて3度目のダウンを奪い、王者を沈めた。主導権を握りかけていたテーパリットは一瞬の隙を突かれた。

 ◆河野 公平(こうの・こうへい)  1980年(昭55)11月23日、山梨県中巨摩郡生まれの32歳。00年11月にプロデビュー。07年2月日本スーパーフライ級王座。同年10月東洋太平洋同級王座。08年9月にWBA世界同級王座に挑戦も失敗。10年9月にWBC世界同級王座挑戦も再び失敗。1メートル66.5。右ボクサーファイター。

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