×

井岡 力が違う!鮮やかTKO!国内最速11戦目で2階級制覇

[ 2013年1月1日 06:00 ]

ベルトを肩に記念撮影をする井岡(左)と宮崎(右端が弘樹会長、左端は井岡の父・一法トレーナー)

WBA世界ライトフライ級王座決定戦12回戦 ○井岡一翔 TKO 6回2分50秒 ホセ・ロドリゲス●

(12月31日 大阪・ボディメーカーコロシアム)
 東京と大阪で世界戦5試合が行われ、WBAライトフライ級王座決定戦で、同級2位の井岡一翔は6回2分50秒、右ストレートで同級5位のホセ・ロドリゲスを倒し、鮮やかなTKO勝利でミニマム級に続く王座奪取。日本人9人目となる2階級制覇を達成した。プロ11戦目での2階級制覇は叔父の井岡弘樹・井岡ジム会長(43)と亀田興毅(26=亀田)の22戦を更新する国内最速だ。国内で世界戦5試合が同日開催されるのは最多記録。日本ジム所属の男子現役世界王者は8人になった。

 圧倒した。井岡は立ち上がりから的確なジャブの連続ヒットで力量の違いを示すと攻勢を強め、連打からの左ボディーで相手をしゃがみ込ませた。「去年と同じパターン。再現できるかな」と本人も11年大みそかのミニマム級防衛戦での98秒TKOの再現を描いた。以降もセコンドの父・一法トレーナーからの「いろいろやっていこう」という指示に応え、さまざまなコンビネーションでプレッシャーをかけた。

 迎えた6回。ワンツーからの右ストレートを見舞うとロドリゲスは両膝をついた。「ダメージの蓄積で、もう気持ちが萎えている」。再開直後に右アッパーから鋭い右ストレートで顔面を捉えた。ロドリゲスの体がキャンバスに沈むと、レフェリーは間髪入れずに試合を止めた。世界戦で過去2度のKOは左ボディーと左フック。「今度は右で決めたい」の公約を果たした。

 昨年6月のミニマム級王座統一後すぐにライトフライ級進出を表明。しかし世界戦はなかなか決まらず、中ぶらりんの状態が続いた。秋の練習で「緩んでいる」と感じた父は、07年全日本選手権決勝敗戦の話題を口にした。08年北京五輪出場を目指しながら夢破れ、2人にとって生涯忘れられない悔しい試合。「勝負だから結果は仕方がない。でも練習の成果を100%出せるようにしよう」。父の言葉に井岡はうなずいた。

 下馬評通りに快勝し、叔父の井岡会長に並び、日本人9人目となる2階級制覇。それも井岡会長と亀田興の22戦を大幅に短縮する11戦目でのスピード達成だ。さらに、世界ベルト3本獲得は日本人5人目。11年2月に国内最速7戦目で世界奪取した若きエリートは、ここまで記録に彩られた道を歩んできた。それでも「記録達成はうれしいけど自分は未熟。向上心を持っていきたい」とさらなる精進を誓う。東農大の山本浩二監督(43)は「マニー・パッキャオのようにどんどん階級を上げていける」と6階級制覇した“東洋の奇跡”を引き合いに出し、一層の進化を期待する。叔父から継承した“井岡伝説”は年を越えて続いていく。

 【井岡―ロドリゲス戦VTR】井岡がスピードで圧倒し、快勝した。鋭い左ジャブを中心に上下のコンビネーションが抜群で、1回にいきなりダウンを奪った。その後もボディーを有効に当てて優位に試合を進め、6回に右ストレートで2度目のダウンを奪うと、最後も同じパンチでキャンバスに沈めた。ロドリゲスは強打で対抗したが、井岡の強固な防御を崩せなかった。

 ◆井岡 一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日生まれ、大阪府堺市出身の23歳。中学でボクシングを始めて興国高で選抜、インターハイ、国体の3タイトルを2、3年時にすべて獲得し6冠達成。東農大で北京五輪出場を目指すも07年全日本選手権決勝で敗れて同アジア予選日本代表を逃す。09年4月プロデビュー。10年10月日本ライトフライ級王座。11年2月にWBC世界ミニマム級王座を国内最速の7戦目で獲得。3度目の防衛戦はWBA同級王者・八重樫東と対戦、国内初の複数団体統一戦を3―0の判定で制した。1メートル65。右ボクサーファイター。

続きを表示

この記事のフォト

2013年1月1日のニュース