“異次元サウスポー”阪神・高橋遥人の凄みとは…セ・リーグ「007」の分析から見えた4大トピック

[ 2026年5月15日 05:15 ]

甲子園でキャッチボールを行う高橋(撮影・北條 貴史)
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 既に4完封を挙げる阪神・高橋遥人投手(30)の無双の背景を探るべく、セ・リーグのスコアラーを緊急直撃した。「007」の分析から(1)ピッチトンネル(2)フォームの間(3)ポーカーフェース(4)浮かない直球という強力な武器が浮かび上がった。4大トピックによる“四次元ピッチング”が、異次元サウスポーの快進撃を支えていた。(取材・構成 倉世古洋平、山手あかり)

 6戦4勝無敗で4完封、防御率0・38はもはや超人級の成績だ。

 高橋は今季、なぜ、打たれないのか。

 虎に密着するセのスコアラー陣が口をそろえるのが、「ピッチトンネル」の存在だ。ピッチトンネルとは、ホームベース手前7メートル付近にある仮想の円状の空間を指す。直球と変化球が同じような軌道でその空間を通過すれば、打者は球種の見分けが困難になる。

 広島・土生翔平スコアラーが驚異のメカニズムを解き明かした。

 「真っすぐ、ツーシーム、カットボールの3球種は、途中まで全部同じ軌道に見えるから、振り出しまで判別が付かない。空振りしてから“あ、曲がったんだ、落ちたんだ”ってなる。今年は特にツーシームの投げミスがない。ここ一番で高さを間違えない。浮かない。だから、真っすぐと思って振らされる」

 今季自己最多の11三振を奪った13日ヤクルト戦で、ツーシームの威力が顕著に表れた。オスナ、石井、沢井は、いずれもワンバウンドに手を出して空振り三振。球種の見極めができていない証拠だった。本塁打に直結しかねない変化球の投げミスが少ないからこそ、48イニングで「長打ゼロ」という圧巻のパフォーマンスにつながっているのだ。

 高橋に今季初勝利を許した巨人・佐藤弘祐スコアラーの指摘も興味深い。「間」と「表情」も武器だとした。

 「足を上げてから球持ちがすごくいい。そして前に倒れ気味に投げる。そこで打者のタイミングが合わない。あと、彼はマウンドで表情を出さないじゃない。どんな状況でもひょうひょうと投げる。それは打者からすれば嫌なものですよ」

 不思議キャラといわれる雰囲気が、快投に一役買っているかもしれない。

 2勝を献上している中日の鈴木義広ゲームアナリストは、直球の質に言及した。ストライクゾーンに投げ込んでも打たれないことが、9回を投げ切れる要因だと読み解いた。

 「タイミングをズラされる上に、直球がバーンと来る。しかも、高めに浮かない。ストライクゾーンに来るから、バッターは振らないといけないし、それが前に飛んでしまう。だから球数が少なく終わってしまうんです」

 では、他球団はどう対策を立てるのか。広島・土生スコアラーは「捕手の配球を読んで球種を絞ること」と語り、中日・鈴木アナリストは「高橋を打つんじゃなくて、早く降ろして他の投手を打つことも必要」と視点をずらした。両者の言葉と結果が物語る通り、攻略に手を焼いているのは明白だ。

 ≪完封数や防御率など新記録期待≫ 高橋(神)は今季6試合で4勝0敗、4完封。シーズン完封のセ・リーグ記録(球団記録)は1962年小山正明の13。高橋はチーム38試合時点で4度のため、単純計算で15度ペースとなるがどこまで近づけるか。

 防御率は13日ヤクルト戦で悪化したとはいえ0.38。シーズン規定投球回に達する95回を投げて自責点が13なら、防御率0.94で終了。2リーグ制以降ではトップの70年村山実(神)の0.98(156回、自責17)も更新する。なお、球団記録は1リーグ時代の36年秋に景浦将がマークした0.79(57回、自責5)。

 2リーグ制以降、規定以上でシーズン最少被本塁打は、24年高橋宏(中)の1本。遥人は被本塁打が一本もないばかりか、二塁打と三塁打も許しておらず、快投ぶりが際立つ。

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