DeNA育成3年目を終えた草野の退寮 プロの厳しさを痛感した記者はその場に立ち会い涙した

[ 2025年11月20日 08:00 ]

DeNAを退団した草野。9月24日、2軍での楽天戦に登板した
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 11月10日。記者は、神奈川県横須賀市内にあるDeNAの2軍練習施設「DOCK」沿いの車道で、21歳の青年を待っていた。その日、チームの秋季トレーニングはオフ。雲一つない秋晴れの下、DOCK周辺は閑散としていた。

 「大木さんっ」。施設内から声がかかる。記者の名前を呼んだのは、育成3年目を終えた今オフ、来季の契約を結ばないことを通達された草野陽斗だった。「引っ越し業者のトラックが遅れているんですよ。ちょっと待って下さい」。「そうなんだ。いつまでも待つよ」。簡単なやりとりをして、記者はその場をいったん離れた。

 草野が10日に若手選手寮「青星寮」を退寮すると聞いたのは、その数日前。1メートル75、87キロの少しぽっちゃり体形で、最速145キロ前後の右腕。DOCKで支配下登録になる夢を何度も口にしていたが、希望はかなわなかった。

 幼少期から大の西武ファンで鉄道オタク。記者と話題があい、練習時間の合間によく話し込んだ。だからこそ、退寮して故郷の福島県に戻る「最後の」姿を見届けたかった。

 午後1時すぎ。荷物がまとまり業者のトラックが出発すると、そのあとを追うように草野は去った。母が運転する軽自動車の助手席に座り「本当にお世話になりました」と言い残し、背番号101は福島に向かった。

 軽自動車が見えなくなるまで両手を振りながら少しだけ涙が流れる。「プロの世界は本当に厳しい。21歳でこれから第二の人生を見つけないといけないのか…」と思った。

 草野の今後は未定。プレー続行の希望をかなえるために声をかけてくれているチームはある。だがその話もまとまるかどうかはわからないという。運転する母のつらい気持ちもはかり知れない。

 だが3年間、プロ野球の世界を学んだことは事実。人生に生かすための経験は積んだ。この時期、こんな光景が12球団の選手寮で数多く生まれている。草野だけではない。彼らの第二の人生の成功を心から祈っている。(記者コラム 大木 穂高) 

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