「やりづらい」は一度もない 常勝山梨学院を築いた親子鷹 「指導者・吉田健人」に芽吹く「小倉の教え」
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アマチュア野球の指導者らに采配やチーム運営などについて、インタビューする連載「指導者の思考法」。第8回は秋季関東大会で優勝した山梨学院の吉田健人部長(29)。父・洸二監督との「親子鷹」で指導するチームは今年の春夏甲子園に出場を果たし、国民スポーツ大会で初優勝を果たすなど黄金期を迎えている。(取材 アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)
――きょう26日に決勝が行われた関東大会で優勝し、来春の選抜出場は確実。新チームが最初の大会となる秋は戦い方が難しいが、5年連続の選抜出場を当確させた。
「正直、不安しかなかったです。8月21日に夏の甲子園準決勝で負けて、新チームのスタートは翌々日の23日。そこから2カ月で選抜出場を懸けた試合をするので心配でした。新チームのメンバーはAチームが甲子園で戦う頃、長崎の大崎高校さんと合同合宿を(山梨学院で)行い、練習試合を重ねることで試合勘を磨くことができた。スムーズに公式戦に入っていけたと思います」
――山梨学院は毎年、新チームの仕上がりが早い。どんな意識で指導しているか。
「結局、“打てなかった、抑えられなかったから負けた”というところまでチームをつくれるか、に尽きると思います。複数のエラーが出てしまうとか、攻撃で動きたいけれどエンドランをかけられないとか、投手と打者の勝負以外の要因で試合に負けることが一番もったいない。高い守備力、作戦を遂行できる攻撃力の基準までは必ず持っていくことを大事にしています」
――秋を勝ち抜くコツはあるか。
「一番大事なことは新チームが始まった時、選手を適材適所に置くこと。世代によっては夏までのサードとショートを入れ替えたり、捕手に関しても“今の時点だったらこの選手”など選手の置き場所に気をつけています。今年は日本代表に捕手の横山が選出されましたが、昨秋の時点では一塁手を任せました。秋を戦う時点で選手が守る位置を間違えると、戦いが苦しくなりますね」
――父は清峰、山梨学院で甲子園優勝を果たした名将の吉田洸二監督。清峰時代は監督と選手の関係だった。なぜ、同じ指導者の道を志したのか。
「09年に父の指揮する清峰高校が優勝して以降、公立高校の甲子園優勝はありません。凄くインパクトのあることで、小学、中学と野球をしている中で憧れました。だから高校では何としても清峰のユニホームを着たかった。卒業後は大学進学にあたり、早いうちから高校野球の指導者を目指そうと決めましたね」
――教員免許取得を目指した山梨学院大在学中から山梨学院を指導。父が監督を務めるチームで指導することにやりにくさは感じなかったか。
「奇麗な言葉を使うと、自分は清峰高校に憧れて高校野球の夢を見させてもらった。何か1つ、父に恩返しをしたいなと。多忙な父とは親子の時間が一般的な家庭より短かったと思う。それが山梨学院で一緒に指導をするようになると野球について密に話す時間が増えた。そこにやりづらさはなく、私にとっては親子で指導することは日々の原動力になっていますね」
――山梨学院は一時期、横浜高校で部長を務めた小倉清一郎氏から指導を受けていた。高校野球の伝説的指導者からはどんなことを学んだ。
「小倉さんは高校野球の辞書です。何を聞いても答えが返ってくる。そして、凄く厳しい指導なんですけど、とにかくワンプレーから逃げないし、上手くいかなかったら何度もやり直す。指導者としての粘り強さを体感しました。守備、走塁、チームプレーの意識を大切にして選手の“野球脳”を変えることができる。自分の指導にも小倉さんのエッセンスが入っていると思います」
――昨年の冬には元日大三監督の小倉全由氏が指導に訪れた。もう1人の小倉さんからはどんなことを学んだ。
「小倉全由さんはとにかくチームを良い雰囲気にして、選手をその気にさせる、心を変える指導者。“良い雰囲気で元気よくやっていけば夏は勝てるよ”という単純なように見えて、なかなか本当の意味では理解、実践できない深いアドバイスもいただきました。良い雰囲気、元気でやるためには指導者はどうあるべきか、考えましたね。選手を盛り上げ、一つになる姿勢は本当に勉強になりました」
――では3人目の名指導者、父からは何を学んだ。
「どんな世代でも諦めないことです。“今年の代はちょっとダメだ”や“今年は選手が弱いから来年勝負だな”なんてことを言う指導者もいますが、とにかく毎年トライする。選手がそろっていない世代ならば戦術をガラリと変える柔軟さがある。その代が一番輝ける形に導くからこそ、直近7年で6度も選抜に出場できている。関東大会で強いチームと当たった代でも乗り越えてこられたのは“どんな世代でも諦めない”思考があると思います」
――最後に親子鷹で成し遂げたいことは。
「甲子園にたくさん出ましたし、選抜では優勝も経験させていただきました。今、山梨学院に入ってくる選手たちはチームが出来上がった状態で入ってきている。同じくらいの力のチームに(伝統の)“ユニホームで勝った”こともあるでしょう。ここに至るまでにOB、学校の先生、応援してくださった地元の方々の支えがあった。やっぱり、地元の人により応援されるチームをつくっていきたいですね。“山梨学院が甲子園に出るからみんなで応援しよう”と思ってもらえるチーム。これからも頑張ります」
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