【内田雅也の追球】フィニッシュ・ストロング

[ 2025年9月17日 08:00 ]

阪神・藤川監督
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 掉尾(ちょうび)は物事の最後という意味だ。捕まえられた魚が死ぬ直前に尾を振るところが語源だという。

 「掉尾を飾る」は物事の最後を立派に締めくくる、良い方向で終わらせるという意味になる。

 「フィニッシュ・ストロング」という英語の言い回しは、この「掉尾を飾る」に近い。インターネット上では「終わり良ければ、すべて良し」と訳されていることもあるが、少し違う気がする。英語の方には「最後までくじけずに、力強く頑張り抜く」といった意味合いがある。「レッツ・フィニッシュ・ストロング」と声をかけ合う。

 阪神監督・藤川球児から、この「フィニッシュ・ストロング」の話を聞いたのは現役晩年、2019年の今ごろだった。大リーグ時代に聞いて心に残っている言葉だと話していた。

 「尻すぼみではなく、シーズンをいかに強く終われるかが大事だという意味だった。始まりではなく、終わりを意識しないといけない。力強くゴールしよう」

 39歳にしてクローザーに返り咲いていた藤川は皆を鼓舞していた。当時監督の矢野燿大(現本紙評論家)もむろんあきらめてはいなかった。8月末で4位。9月最終盤の連勝で最大6・5ゲーム差を逆転、広島を抜いて3位に入り、クライマックスシリーズ(CS)出場権を得たのだった。

 あれから6年。監督となった藤川がいま、心に抱くのも「フィニッシュ・ストロング」の姿勢ではないだろうか。

 日付としては2リーグ制で史上最速、今月7日に早々とリーグ優勝を決めた。次なる戦いはCSファイナルステージで10月15日開幕だ。1カ月以上ある調整期間をいかに過ごすか。難しいピーキングの問題がある。

 あの歓喜から10日。いまは主力選手を休ませたりしながら、次を見すえている。

 先日、「1カ月しかないのか、1カ月もあるのか」といった話をしていた。「まだまだエンジンをかけながら、シーズン残りのゲームをやりながら、個人(成績)も含めて、みんなが良い形でゴール切れるようにとは思っています」

 シーズンは残り11試合。最終戦は10月2日、ヤクルト戦(甲子園)だ。この時には力強く、やり抜いたと思える最高の形でゴールしたい。「フィニッシュ・ストロング」である。 =敬称略=
 (編集委員)

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