“借金チーム”のCS出場は是か非か?張本勲氏は現行維持、森繁和氏は改革訴え

[ 2025年9月9日 05:30 ]

張本勲氏(左)と森繁和氏
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 セ・リーグは阪神が2位・巨人に17ゲームの大差をつけ、2リーグ制最速というぶっちぎりでリーグ優勝を決めた。交流戦でセが借金20と負け越した影響もあって、現状では阪神以外の5球団は全て勝率5割未満。1950年からの2リーグ制で初めて2位チームも借金で終える可能性がある。独走優勝時のクライマックスシリーズ(CS)の在り方はファンの間でも是非が分かれ、いずれもスポニチ本紙評論家の張本勲氏(85)と森繁和氏(70)が見解を寄せた。

 【張本勲氏 3位以内=努力の結果 過去の要素抜きに白熱の勝負見たい】特に優勝チームのファン、今回なら阪神だが、借金チームにCSで敗れて日本シリーズ進出がならないとなれば納得できないだろう。それも十分に承知している。そんなファンの厳しい目があるのを理解した上で、今季がレアケースであることも強調したい。これまでCSはおおむね成功してきた。それは勝負の世界の面白さが凝縮されているからだ。

 10年にはロッテがリーグ3位から日本一になる「下克上」を果たした。昨季も同3位のDeNAが頂点に立った。「負けてもまだチャンスがある」というのは人生訓にも通じ、ドラマがある。今季は交流戦でパ・リーグに43勝63敗2分けと大きく負け越したことで、阪神以外のチームは借金を抱えた上での混戦になってしまった。この借金はリーグ内で生じたものではない。それが「レアケース」と言ったゆえんだ。

 今季のセで借金がありながら3位以内に入るチームがあったとしても、それは必死にやった結果、努力の成果だ。ぜひCSでは「優勝チーム」「借金チーム」という過去の要素を抜きに、1対1の白熱の勝負を見せてほしい。そこで強いチーム、運のあるチームを決める。きっと、ファイナルSで迎え撃つ阪神もシーズン同様の強さを見せてくれることだろう。

 借金を抱えたチームが日本シリーズに出ることは、決していいことではないと私も思う。ただ、今回のように借金を多く抱えたチーム相手の時はファイナルSのアドバンテージを1勝→2勝に増やそう、との意見もあるようだが、それではやる意味がなくなってしまう。仮に2勝なら初戦に勝てば3勝で即、王手。これでは盛り上がらない。私自身はアドバンテージは1勝が限度だと思っている。

 【森繁和氏 当事者も感じる「この成績では…」現場の感覚では「権利なし】チームを率いる監督、選手、そしてファンも含めて、仮に優勝を逃しても「次」があるならそこを目指す。それが戦うことの意味でありCSの魅力だが、仮に2桁近い借金があった場合はどうか。指揮官ら当事者も「この成績では…」との思いが胸に去来するのではないか。

 私自身の現場で経験した感覚も含めていえば、勝率5割未満のチームには本来、CS出場の権利はないと思う。もし今後もCSを続け、今年のようなケースが起こるようなら新たにルールを決めなければいけない。借金5以内ならまだしも、5以上のようなチームが勝ち上がってきた場合はファイナルSのアドバンテージを1勝から2勝にする、などだ。

 仮に借金チーム同士でファーストSを戦い、そのチームがファイナルSを勝ち抜いて日本シリーズに出場したらどうなるのか。これまで、勝率5割未満のチームがCSに出場したのは7度。全てセの3位だが、日本シリーズに進出したチームはない。今季は交流戦でセが大きく負け越して借金を抱えたことが「混乱」の遠因で、今後も起こり得ることを想定しないといけない。

 私が中日のバッテリーチーフコーチを務めていた07年は、優勝した巨人に1.5ゲーム差の2位。ファーストSは阪神に2連勝、ファイナルSは巨人に3連勝して日本シリーズに進出した。そして、日本一に王手をかけた日本ハムとのシリーズ第5戦では山井―岩瀬による完全試合リレー。CSがなければあの「伝説」も生まれなかったし、CS自体もファンに定着している。理想は最後までリーグ優勝を争い、Vを逃しても「惜しかった。CSでもう一度チャンスを」の形。今季、最終的にどういう結果になるか注目している。

 ≪2位以下突破チーム 過去5度日本S制覇≫セ、パ両リーグで足並みをそろえてCSが始まった07年以降、2位の突破はセ2度、パ2度、3位の突破はセ2度、パ1度。うちセでは07年中日(2位)と24年DeNA(3位)の2度、パは18、19年ソフトバンク(2位)、10年ロッテ(3位)の全てが日本シリーズを制した。貯金2の24年DeNAは最低勝率.507での日本シリーズ進出&日本一だった。ちなみに全30チームのうち12チームがポストシーズンに進む大リーグでも、レギュラーシーズン勝率5割未満でのワールドシリーズ制覇はまだない。

 ≪借金チーム 日本S進出なし≫勝率5割に満たない借金チームのCS出場は過去7例で全てセ3位。うち5度でファーストSを突破した一方、ファイナルSは全て敗退した上、通算でも1勝しかできていない。CSが始まった07年以降、セパとも2位の最低勝率は.507(貯金2)で、16年巨人、19年DeNAはファーストS敗退、23年ロッテはファイナルS敗退だった。

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