【スポニチ独自取材】DeNA藤浪「1勝」 その裏にあるアナリストの奮闘こそ藤浪の未来への第一歩

[ 2025年9月1日 05:00 ]

セ・リーグ   DeNA2-0中日 ( 2025年8月31日    横浜 )

ブルペンでデータを確認するDeNA・田村氏

 「DeNA藤浪獲得決断!」の背景として萩原龍大チーム統括本部長が「ウチには強みがある」と強調したのが、アナリストを中心とした動作解析チームの存在。そのスタッフの1人が田村大聖バイオメカニクスアナリスト(28)だ。獲得の報を受け、同氏は大阪桐蔭、阪神、米国の各時期ほぼ全ての映像をチェックした。

 オリオールズ時代(23年)の投球が最も好印象だったという。焦点は高校時代も含めた過去の「良い藤浪」を取り戻すのか、それとも「新藤浪」をつくるのか?だ。

 動作解析のフィードバックを含めた確認作業は藤浪同席のもと、入来祐作2軍投手コーチ、田村氏ら少人数のミーティングで実施された。そして入来コーチが過去の好調時の感覚をベースに「新たな自分」をつくりだすことを提案。各出席者は同意した。

 加えて言うなら、投手のブルペンの球速は試合よりも通常は5キロほど落ちるが、藤浪は153、4キロを計測する。これほど魅力的な素材はない。最初のブルペンで多くのデータを集めた。

 田村氏は、筑波大大学院時代に師事した小池関也教授から受け継いだ「身体の運動方程式に基づく分析」を藤浪の投球に当てはめた。同分析手法は、バイオメカニクス分野における権威ある学術誌に掲載されるほど綿密にメカニズムを解析する分析手法。例えば、藤浪の球速の出力生成メカニズムを可視化し、その根本を認識する。

 紹介できるのはごく一部だが、まず「シンプル」を藤浪と共有した。発想として、藤浪投手の投球動作が「横回転か縦回転か」という視点を見直した。投手は最終的にどの投手でも「縦回転」で球をリリースしている。藤浪投手の欠点の1つと言われてきた横回転の動き出しを否定しなかった。

 「横回転するものはする。その中で藤浪投手の特徴の腕の遅れだけ修正すると、腕の振りは自然な形で加速する。自然な流れに乗ればリリースを制御しやすくなると考えました。藤浪投手はリリースの瞬間の腕のふりの加速成分が、たりていなかった」。藤浪も理解を示した。右腕はDeNAの視点に救われた。

 「型にはめる」構図を解放するだけでも、藤浪の目は輝いた。31歳。加齢もある。その中で「今のベスト」をつくるDeNAの取り組みは、まだゴールしてはいない。この1勝は、藤浪を進化させるための第一歩にすぎないことは自身も球団スタッフもしっかりと胸に刻んでいる。 (大木 穂高)

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