【記者の目】「白黒」確定前の広陵途中辞退決定に疑問 SNS時代に適応できなければ高校野球に未来はない

[ 2025年8月10日 22:41 ]

10日の辞退会見で謝罪する広陵・堀校長(左)と浅田哲雄広陵学園事務局長
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 最悪の結末だ。過去の事案と異なる点は「白黒」が確定していない段階で出場辞退が決まった点にある。日本学生野球協会の裁定や、新事実が発覚しての辞退ではない。SNSの誹謗(ひぼう)中傷に学校側が音を上げた形だ。問題が学校経営にも深刻な影響を及ぼす規模となり、第三者委員会の調査結果を待たず辞退が決まった。

 ただ、今回の事案に関わっていない選手もいる。学校側は結論を出す前にそれらの選手たちに現状を伝え、考えを聞くべきだった。結局、大人たちは子供を守れず、意思を聞くことなく機会を奪った。宿舎にスマホを持ち込んでいないナインは青天のへきれきだっただろう。

 「ネットの誹謗中傷は駄目」で片付く問題でもない。事案について当初の学校側の報告内容が本当なのかどうか、「箱の中の猫」は分からない。SNSは封じられた声に光を与える正義のツールにもなり得るため、封じる考えは危険だ。ただ、今回は事実に基づかない内容や爆破予告など常軌を逸した投稿がなされた。告発者の支持と攻撃は分別したい。

 SNSで出場辞退に追い込める前例ができてしまった。全国のベンチ外選手や元生徒が「爆弾」を持っている可能性もある。だからこそ、再発防止のために聞き取り方法の改善を提言したい。警察などに協力を得て、被害があった際はもっと「ありのまま」を証言でき、受け入れられる体制が構築できれば、加害者と被害者の認識の違いは減るだろう。

 火種を取り除くことができれば炎上リスクを下げることができる。SNS時代に適応できなければ高校野球に未来はない。暑さ対策より喫緊の課題だ。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

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