イチロー氏 弓子夫人と米殿堂入りパレードでコール鳴りやまず 「粋な方」恩師・仰木監督に感謝 

[ 2025年7月28日 01:30 ]

米国野球殿堂入りを祝うパレードに登場したイチロー氏と妻の弓子さん(AP)
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 米野球殿堂入りしたイチロー氏(51=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が26日(日本時間27日)、米ニューヨーク州クーパーズタウンで表彰式典を翌27日(同28日)に控えて前夜祭となるパレードに臨んだ。約1万人のファンが集まり、弓子夫人(59)とトラックに同乗した。会見では現役時代から同地に足を運び続けた理由、オリックス時代に「イチロー」の登録名で売り出してくれた故仰木彬監督への感謝の思い、現代野球への新たな視点などを語った。

 「イチローコール」が鳴りやまなかった。メインストリートでのパレードは、歴代メンバーに続き、新たに殿堂入りするCC・サバシア氏、イチロー氏、ビリー・ワグナー氏の順番で登場。約1時間20分のパレードを締めくくり、弓子夫人とともに穏やかな笑みを浮かべて手を振った。

 クーパーズタウンを訪れたのは、現役時代からも含めて9度目になる。博物館では往年の名選手らの道具を目にし、触れてきた。「シーズン中戦っていると、いろんな感情が生まれて。いい感情もあるけど、自分の心が何か濁っていくというか。クーパーズタウンを訪れるとそれを凄く奇麗にしてくれて、もう一度リセットして次のシーズンに向かえる。本来、野球選手が持っていなくちゃいけない感情を戻してくれる」。何度も足を運んだ理由をそう説明した。

 メジャー19年間で通算3089安打を積み上げた。そのメンタルを支えた聖地に、メンバーとして加わる。前日記者会見では忘れてはならない恩師への感謝の思いを口にした。

 「仰木監督、最も影響を頂いた方ですね。野球関係者で会った中で、最も面白い方で、最も粋な方でした。最も大きな影響を受けた方です。どれだけ感謝してもし切れない」

 また、引退時から警鐘を鳴らしてきたデータやパワー偏重の現在の大リーグについても新たな見解を示した。「頭を使わなきゃできない、考える野球に戻りつつある。例えばブルワーズはそんな野球をしていた」。マリナーズは本拠での21~23日の3連戦で、ブ軍に1勝2敗で負け越した。「今一番強いチーム。それは凄くいいことだと思いますね。野球とは、知恵を絞って、考えて、自分の能力を高めていく競技だと思います」。キャリアを通じて体現してきたことだ。「今回、僕はここクーパーズタウンにいることが、こんな感じの選手だった人が、それは何かのメッセージになることなのかと思っています」。野球界全体を考え続けるからこその思いだった。(笹田 幸嗣通信員)

 ▽野球殿堂博物館 1939年に、マンハッタンから車で北へ約4時間弱、315キロ離れたクーパーズタウンに開館した。緑と湖に囲まれた人口2000人に満たない小さな町だが、野球発祥の地として同地に造られた。ただ、現在は研究者によって野球の起源ではないことが証明されている。1800年代からの野球の発展に貢献した選手、監督、審判ら関係者のレリーフや道具などが展示されている。

 【イチロー氏に聞く】

 ――表彰式典を控えた今の気持ちは?
 「スピーチのプレッシャーで押しつぶされそうで、もうえらいことになっています。準備を本当はしなきゃいけないんですけど、今日の朝もフィールドに行って、投げて、走って、バット振ってましたから。そっちの方が大事なんでしょうね、僕にとって」

 ――大リーグと日本の野球の関連性。
 「MLBの影響は、日本では何年か後にその流れがやってくるという。でも野球自体は全くまねをするというか、同じになる必要はない。日本は日本の野球、アメリカはアメリカの野球があっていいと思っています」

 ――長嶋茂雄さんから受けた影響は?
 「とても偉大な存在でした。何度かお目にかかったことがあるんですけど、必ず人が長嶋さんをどう見ているか、ということを凄く意識され、理解されていて。どう自分が振る舞うのが正しいのか、美しいのか、それを追い求められた方だと思っていました」

 ――日本選手初の殿堂入り。次に続く選手たちへの影響は?
 「分からないですね。それは分からないけど、一人目がいなければ次はないので。その一人目が僕だったことは凄く光栄です」

 ――野球における一番の思い出は?
 「長いからね、なかなか一つとはいかないんだけど。これ以上の地獄はないという経験は、やっぱり高校の2年半ですね。何か困難なことが現れた時は、高校の寮生活を思い出すことが多いです」

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